佐賀県武雄市議会の谷口攝久議員(無所属)が、2013年度に政務活動費で焼き物や恋愛小説を購入していたことが判明した。谷口市議は、基準に合わないのであれば撤回するとして、報告書を訂正した。
武雄市役所議会事務局によれば、今回の政務活動費の目的外支出は、領収書の混在によって起こったもの。一般的には、政務活動費の支出が使途基準に則ったものであるか、議員本人が判断し、議会事務局に提出する流れ。そのなかで、焼き物と恋愛小説の領収書のどちらも「資料購入費」の項目で計上されていた。書名等の記載がなかったため、谷口議員本人に聞き取り調査を行ったが、「覚えていない」ということであった、と議会事務局は説明する。
恋愛小説は「天上紅蓮」という書名の文庫本で、620円。一方、焼き物は1万2,600円であった。どちらも書籍として計上されており、1万2,600円の書籍は一般的な感覚からして金額が高く、書籍名がわからなければ不審に思って然るべきだ。議員本人の意識が低いことが第一の問題であるが、聞き取り取材をしておきながら、「覚えていない」で済ませてしまった議会事務局にも責任がある。
政務活動費として適正な支出をなされているかどうか、その審査のための使途基準は条例によって定められている。そのため、自治体によって審査等の方法が異なり、画一化はされていない。「号泣県議」、野々村竜太郎兵庫県議会議員の一連の騒動によって、政務活動費に対する注目度が上がっているが、3年間もの間、議会事務局が領収書の添付がない報告書を受け取っていたという事実がより根深い問題だ。今回の谷口武雄市議会議員の適正外支出についても、新聞社の情報公開によって明らかになったものであり、事務局側の審査が真っ当に行われていないことが改めて強調される。
政務活動費の目的外支出問題はこれまで繰り返し起こっている。2013年には福岡地裁が、福岡市議会の大量の切手購入や議会開催日の昼食代などを、約2,200万円の目的外支出と認定した。
「第2の給与」など、納税者の気持ちを軽んじた表現もされてきた政務活動費。01年4月に「政務調査費」として改正地方自治法で制度化され、12年の更なる改正により名称が「政務活動費」に変更、使途が拡大された。自治体によって、公開の程度もまばらであり、例えば福岡県議会では、議会図書館で領収書の添付された収支報告書を閲覧できるが、福岡市議会では、公文書公開請求を行わないと、領収書の確認はできない。厳密な支出の審査、そしてそれを第三者がチェックするための透明化が不十分な現状だ。
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