市長選の投開票(11月16日)まで約4カ月となった福岡市では、現職・高島宗一郎氏をはじめ、誰も正式に立候補表明をしていない異例の事態となっている。そうしたなか、高島氏の市長としての資質を疑う声は、現職再選阻止を望む声へと変わり、勢いを強めているようだ。
立候補表明はしないまでも再選への意欲を示す高島氏。それを阻止するには、代わりとなる人物を擁立しなければならない。現市政に問題意識を持つ市民は各々、次の市長にふさわしいと思う人物に期待の声を寄せ始めている。ここで新たに、保守系のベテラン県議と若手の政党関係者の名前が浮かびあがった。福岡県議会議員の古川忠氏(65)と、現在、日本維新の会衆議院福岡県第二選挙区支部の支部長である頭山晋太郎氏(36)である。
古川氏はNETIBNEWSの取材に対し、市長選出馬を望む声が寄せられていることを認めた上で、「最大の目的は、現職の再選阻止。ふさわしい人物がいれば、私は応援する」とコメント。与党会派・自民党市議団の市長選における方針が定まらないなかで、「自分から手を挙げることはない」と強調する一方、市長選出馬の可能性を否定しなかった。現職・高島氏については、「福岡市に対する思い入れがうすい」とバッサリ。県議を5期務め、選挙区である早良区で根強い支持があり、出身校である福岡県立修猷館高校のOBからの期待も高いようだ。
一方、頭山氏は、「地方政治のあり方に疑問を持つ。1人でも多くの方を聞いて、ベターな方向で政策を考え、何らかの形で実を結びたい」とコメント。頭山氏は、明治以降の近代において、福岡の政治に多大な影響を持っていた政治結社「玄洋社」のリーダー・頭山満のひ孫。福岡市民となって1年半、その間の政治活動中に、福岡市政を憂う市民の声を幾度となく耳にした。その血筋からか、「話の流れ」(頭山氏)で市長選出馬を期待されることもあるという。
ただし、衆議院の支部長として活動している以上、態度を決めた時は、政党に話を通した上で公表するなど手順を踏むとのこと。前出の「何らかの形」(頭山氏)のなかには市長職もある。なお、頭山氏は、7月末、日本維新の会の分党後、石原新党に合流する予定。新党の正式な支部長になるのは8月以降という。
「次の市長は誰がふさわしいか?」
市長選が近づくにつれ、高島市政を問題視する市民の間で、こうした会話がなされている。「今よりはマシ」などと、福岡出身の有名人を含めてあげられる名前の数で言えば限りはないが、現実的なところで、今回の2人の名前が新たに加わったというところだろう。着目すべきは、この2人が保守系であること。自民党の支持で初当選した高島氏だが、自業自得というべきか、その政治的バックボーンの脆さが表面化してきたと言える。
【山下 康太】
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