韓国経済ウォッチ~サムスンペイの好調(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
8月20日、サムスン電子が「Galaxy S6」を発表する際に同時に発表したモバイル決済システムの「サムスンペイ」は、まず韓国で導入され、その後、利用者数が順調に伸びているようだ。
「アップルペイ」とグーグルの「アンドロイドペイ」の対抗馬として登場した「サムスンペイ」は、とりあえず韓国では予想以上の好評であるということだ。一部では、「サムスンペイ」はハードウェア中心のサムスン電子のモバイル戦略を、根本的に変えるきっかけになるかもしれないと言っている。それでは、なぜ「サムスンペイ」は、このように好評を博すようになったのか――。
「サムスンペイ」は、事前に自分のスマホにクレジットカードを登録しておいて、決済する際に使うものである。決済する際には、ホームボタンを押し、画面の方にスワイプした後、カードが出てくると、指紋認証を経て、タッチすれば決済は終わる。この動作に必要な時間は、2秒くらいである。
実は、韓国ではすでにカード会社が発行するモバイル決済システムはあった。その決済システムの場合は、決済アプリをまず探して、セキュリティ解除のために暗証番号を押し、その後、決済するための暗証番号をもう一度押し、バーコードが現れると、初めて決済が可能になる。これにかかる時間は約10秒である。既存のカード会社のモバイル決済システムは、煩雑さと対応する読み取り機が少なく、それほど普及しなかった。
「サムスンペイ」はこのような失敗から教訓を得て、煩雑さをなくし、既存の読み取り機で対応できるようにした。その戦略は、見事に奏功し、順調に伸びているのである。「サムスンペイ」の好調とともに、これと関連した銘柄の株価も急上昇している。それでは、「サムスンペイ」の市場状況をもう少し詳しく見てみよう。「サムスンペイ」が韓国で決済サービスを開始したのは8月20日なので、すでに1カ月以上が経過している。「サムスンペイ」の滑り出しは、今のところ予想を上回るほど順調のようだ。
サムスン電子は9月23日に中間報告のかたちで、モバイル決済である「サムスンペイ」の韓国での取り扱い額は、8月20日のサービス開始から1カ月間で3,000万ドルを上回ったと発表した。「サムスンペイ」は、とくに小売業者とユーザーに人気が高く、取り扱い件数も150万件を超えたとサムスンの関係者は伝えた。「サムスンペイ」は、サムスン電子が進めてきたモバイル決済システムで、今回は自前の技術だけでなく、業界で注目を集めていたループペイというアメリカ企業を買収し、その決済システムを完成させている。今回の決済システムは、ループペイの磁気カード技術が導入された決済システムである。もちろん、このサービスを利用するためには、「サムスンペイ」に対応したスマホが必要になるが、既存のクレジットカード、デビットカードなどを持参する必要もなく、スマホを使って、商品の代金を手早く支払うことができるので、とても便利である。
今後、モバイル決済市場の成長が見込まれているなかで、アップル、グーグルに次いでサムスンもこの市場に参入し、3社間の大接戦が予想される。(つづく)
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