2024年12月22日( 日 )

ゆうちょ銀行誕生~九州の金融業界再編を検証する(2)

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ゆうちょ銀行の実力

 【表1】【表2】を、【別表1】と比較しながら見ていただきたい。

ゆうちょ銀行と第一地銀との比較

 ・ゆうちょ銀行の九州における貯金残高(11月4日以降は銀行となるため以下から預金)は15兆8,294億円。それに対して福岡銀行や西日本シティ銀行など九州の第一地銀(11行)の預金残高は35兆7,461億円。その差は随分あるように見える。しかしゆうちょ銀行の預金残高は個人である。そこで第一地銀の個人預金を見て欲しい。
 九州の第一地銀の個人預金合計は24兆8,193億円である。その差は一気に約9兆円に縮小するのだ。
 ・熊本銀行など第二地銀(7行)の預金残高は3兆9,690億円。そのうち個人預金は2兆9,342億円しかない。15兆円を超える残高があるゆうちょ銀行の5分の1しかなく、第二地銀にとって最大のライバルは第一地銀ではなく、ゆうちょ銀行と言えよう。

限度額が1,000万円から2,000万円へ

 ゆうちょ銀行の個人の預入限度額は現在1,000万円。第一地銀と第二地銀の個人預金合計は27兆7,535億円。もし限度額が倍の2,000万円に引き上げられると、第一地銀と第二地銀を超える計算だ。枠が広がれば地銀だけではなく、信用金庫や信用組合など他業態から預け替えられる可能性が高い。また今後個人ローンなどの貸出分野にも本格的に進出してくるようになれば、既存の金融機関は大きな影響を受けることになるからだ。

表から見えるもの

 ・福岡銀行は総預金8兆8,317億円のうち、個人預金は6兆2,137億円でその比率は70.36%。西日本シティ銀行の比率もほぼ同じく70.58%となっている。肥後銀行、鹿児島銀行、大分銀行、筑邦銀行が70%台であり、地域金融機関として確固たる地盤を築いている。
 ・十八銀行は68.61%。同じ長崎県を地盤にする親和銀行は61.50%と7ポイント差がついており、個人のメイン化に差が見られる。
 ・佐賀銀行の個人預金は1兆4,000億円。一方ゆうちょ銀行の佐賀県の貯金残高は1兆379億円。その差はわずか4,000億円。ゆうちょ銀行の民営化はさらに厳しさを増すものと思われる。
 ・ここで目を引くのは北九州銀行の58.87%。2011年10月に山口銀行を営業分割して発足してからちょうど4年を経過したが、個人のメイン化が大きな課題と言えそうだ。
 ・第二地銀では南日本銀行と豊和銀行の個人預金は60%台後半だが、残り5行は70%を超えており、個人預金のウエイトが高いのがわかる。

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(つづく)
【北山 譲】

 
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