2024年12月23日( 月 )

中国経済新聞に学ぶ~中国介護ビジネスの現状と将来(前)

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中国高齢者の生活を理解する3つのキーワード

kaigo_kurumaisu 急速な少子高齢化が進んでいるのは、日本だけではない。中国では現在、60歳以上の高齢者が1.7億人と、全人口の13%を占める。年間600万人の高齢者が増えていく高齢化のスピードは、むしろ日本よりも速い。

 現代中国の高齢化社会を、俗に「421社会」という。「1人の子どもと2人の夫婦、4人の老人」というのが、典型的な家庭構造だ。夫婦は共働きで子どもは1人っ子、そんな家庭には老人の面倒をみる者がいない、ということを意味する。
 日本のようなサービス重視の介護施設の普及はまだまだ先のこと、ましてや介護保険の制度もない中国で、「自分が年をとったらどうなるのか」と漠とした不安を抱く中国人は少なくない。

 中国の場合はこの問題に加えて、国内の介護保険制度がまだ未整備であり、さらに国の医療体制も都市部と郊外では差が顕著で、日本よりも医療と介護の現状は複雑だ。しかし、だからこそビジネスチャンスが多くあるとも言える。なかでも日本を含めた海外企業にとって、医療機器ビジネスと介護ビジネスは、中国政府によるビジネス環境の整備が進みつつあり、これから急速に市場が拡大すると見られる。
 中国市場に詳しいコンサルタントアドバイザの廣田廣達氏は、「中国の高齢者の生活を理解するキーワードは3つがある」と指摘した。

1.「9073」

 この数字は「90%」「7%」「3%」を表す造語で、政府が政策に力点を置くウェイトでもある。それぞれの意味は、次の通りである。
 90%:「在宅介護」、7%:「社区における介護」、3%:「専門施設における介護」。
 中国政府は、中国人の家族観を大事にするということで、在宅介護をメインに政策を置いている。ただし、高齢者の家族がご子息と何らかの事情で別々の暮らしを余儀なくされた場合、コミュニティで高齢者の面倒を看るというものである。
 「社区」とは、日本的な意味では「自治会」と意訳することができる。ただ、中国では「社区」に存在する病院は、高度な治療ができないために、コミュニティの外にある大きな病院を利用する必要がある。それが専門施設の介護である。

2.「空巣老人」

 この言葉は、高齢者のみが住んでいる家庭のことを指している。
 中国政府はGDP7%成長を維持するために、優先順位を付けているが、誰も面倒を看られなくなった人を何とかせねばと考えている。ご子息が面倒を看られない人や、財政的に苦しい高齢者は、政府が面倒を看る必要がある。そういう高齢者のことを「空巣老人」と呼んでいる。

3.「未富先老」

 これは、中国全体が富を得るまでに、老いてしまうことを指す。
 現在、中国平均でも1人当たりGDPが約7,000ドル。上海市や北京市でも1万5,000ドル。まだ、中所得国の罠から抜け出せていない。それにも関わらず、2014年には、高齢者人口比率(60歳以上)が10%を超えてしまった。急速に高齢者が多く存在する世の中になってしまうのは、想像に難くない。

(つづく)

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(後)

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