2024年12月23日( 月 )

九州地銀グループの実力度を検証(4)

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 前回に引き続き【表1】九州地銀(18行)の2015年3月期決算の概要を見て頂きたい。
 白抜きの銀行はフィナンシャルグループ(FG)に属さず、今後の去就が注目される8行(大分・十八・宮崎・佐賀・南日本・筑邦・宮崎太陽・佐賀共栄銀行)であり、最初は大分銀行の経営統合についての検証をしていくことにしたい。

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(1)大分銀行

・預金残高5位の大分銀行は2兆6,789億円(前期比0.5%)で、地銀18行平均の3.8%を大きく下回り、増加額はわずか142億円。貸出金残高も1兆7,798億円(前期比2.8%)で、増加額は483億円と地銀平均の5.7%の半分以下の伸び率となっており、預貸金とも低迷しているのが読み取れる。当期純利益は97億円(前期比16.8%)で、増加額は14億円と5位の座を確保したものの、3~4位の肥後銀行(129億円)と鹿児島銀行(136億円)が今年10月に経営統合して九州FGが誕生すると、圧倒的な差をつけられることになる。

・福岡県を除く九州5県で人口は減少しており、地域経済は縮小している。大分県も2005年の国勢調査では1,209千人だったが、5年後の2010年には1,196千人となり、120万人を切っている。2015年5月1日現在では1,166千人となっており、人口の減少に歯止めがかからない状況にある。今後は更に加速していくとの予測が出ており、いずれ近い将来他行との経営統合に踏み切らざるを得ないというのが実情だ。

・大分銀行に残された道は、(1)第四極の新たな枠組みを模索する、(2)西日本シティ銀行グループに入る、(3)九州FGに合流する、(4)ふくおかFGへ参入する――の四つである。
 ここにきて(1)を選択してももはや有力な銀行は残っていないし、(2)についても豊和銀行(大分市)は西日本シティ銀行の傘下にあることから、可能性はほとんどないと思われる。残されているのは(3)と(4)の2つだか、ただ(3)の場合、先行して九州FGを立ち上げた肥後銀行、鹿児島銀行の中に大分銀行が加わっても、その影響力を行使できるかどうかは賭けになる。むしろ(4)のふくおかFGとの経営統合に加わり、ナンバーツーの地位を確保した方が、存在意義があるのではとの見方が有力となっている。いずれにせよ単独で生き残ることは難しいと見られており、「あとは同じ慶応大学経済学部卒の柴戸隆成ふくおかFG社長(兼福岡銀行頭取)と姫野昌治大分銀行頭取の信頼関係次第」と話す金融関係者の声にも説得力がある。(【表2】参照)
 いずれにせよもう残された時間はなく、姫野頭取にとっては、大分銀行の将来を負託された決断の時季を迎えることになりそうだ。

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(つづく)
【北山 譲】

 
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