まれにみる無責任なドタバタ倒産劇～（株）三栄ホーム（１）

　大分市内に本社を構え、戸建住宅の建築、販売を手がけていた（株）三栄ホーム。今年５月１日に事業を停止し、現在も破産手続の申請準備中である。４月30日、事業停止の前日にもかかわらず、社員らが新築棟上式に参加していたことがわかった。社員のほとんどが予期しなかった倒産劇に、いくつかの穏やかではない事実が明らかとなった。

事業停止後、進まぬ処理

　５月１日に事業を停止した同社だが、建設中、契約済み、着工前の物件、10数戸を残していた。代表は姿を見せないまま、営業マンと経理担当者が、建設の引き継ぎのため、建設業者を探しまわっていたという。

　事後処理を依頼された弁護士は「債権者が多いこと、また裁判所への予納金が工面できないこと」から、正式な受任が遅れていた。その後、関係者には「６月１日に裁判所へ破産手続の開始決定を申請する予定」と連絡が入るが、いっこうに進まず、同月15日には「お詫びと通知」という書面が債権者に届いた。

　記載は負債総額約12億9,000万円と債権者数118名、そして近日中に申請を行うとの内容だった。担当弁護士によると、「銀行から同社への入金は弁護士事務所で預かるようにした。予納金のメドがたったので、６月中には申立を行う」とのことだった。しかし、新しい月を迎えた現在も申立は行われていない。

（つづく）
【東城　洋平】

＜COMPANY INFORMATION＞
（株）三栄ホーム
代　表：江野畑　敬一
所在地：大分市生石港町2-6-11
設　立：1997年９月
資本金：2,000万円
売上高：（14/8）約13億3,000万円
負債総額：約12億9,000万円