2024年12月22日( 日 )

原中誠志福岡県議、「『Airbnb』は旅館業法範疇」の見解示す

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原中誠志福岡県議

 10日報じた、「Airbnb」などを通じた個人による空室賃貸について、福岡県が旅館業法に基づく許可が必要と示した件で、質問者の原中誠志県議(民主)から見解が寄せられた。

 原中県議は、3日の予算特別委員会で県に、8日の同委員会で県警に「Airbnb」の法律上の取り扱いについて質した。それにより個人が「旅館業(宿泊料を受けて人を宿泊させる営業)」を行う場合は、個人の住宅であっても旅館業法の示す基準をクリアして許可を取得せねばならず、無許可営業などの旅館業法違反については、保健所による立ち入り検査が入り、また刑事事件として立件される可能性もあることが明確に示された。

 今回寄せられた見解で原中県議は、質問のきっかけとなった、県内での事例や、また「Airbnb」などの新しい宿泊サービスについての法整備を整え「規制と緩和の両面から対策を講じ」「合法性を得ることが必要」と主張している。
 以下、原中県議の見解を全文掲載する。


「Airbnb(エアビーアンドビー)の法律上の取り扱いについて」県議会質問に対する見解

2015年7月
福岡県議会議員
原中 誠志

 2015年『6月県議会』「予算特別委員会」で質問した「Airbnb(エアビーアンドビー)の旅館法違反問題について」ですが、この質問のきっかけは、福岡市中央区大名にあるマンションの管理者からご相談を受けたことから始まりました。

 相談の内容は、「マンションの中の二部屋が宿泊所として使われている。このことは管理組合にも、隣近所にも伝えられていなかった。福岡市保健所に相談したところ、保健所が立ち入り調査を行い、旅館業法に基づく無許可営業ということで行政指導した。結果、1軒は立ち退いたが、もう1軒はシェアハウスだと主張して宿泊業をやめない。旅館業法の許認可権は県にある。県としてきちんと対応してほしい。」というものでした。

 このご相談に基づき、厚生労働省健康局生活衛生課ならびに本県保健医療介護部保健衛生課にマンションや一軒家の空き部屋を、有料で貸出し、宿泊させるサービス、いわゆる「Airbnb(エアビーアンドビー)」について、法律上の対応について問い合わせをしたところ、
(1)「旅館業法」の許認可は県にある。
(2)「旅館業法」では、ホテル、旅館、簡易宿泊所、シェアハウスという様態に関わらず、宿泊場所の 提供を行う者が、不特定多数の者を反復、継続して宿泊させ、その対価を得る行為は、「旅館業法」の営業にあたり、旅館業法に基づく許可が必要となる。したがって、「Airbnb(エアビーアンドビー)」も「旅館業法」の範疇に入る。
(3)宿泊を業とする場合、前述のとおり、ホテル、旅館、簡易宿泊所、シェアハウスといった様態に係らず、
・提供した部屋で食事を提供すれば「食品衛生法」に抵触する。
・「宿泊サービスを取り次ぐ行為」となれば「旅行業法」に抵触する。
・業を行うにあたっては「建築基準法」等に基づく土地の用途を確認する必要があり、住宅区域内では営業行為ができなかったりする。
・旅館業営業許可にあたっては、「消防法」に基づき「消防法令適合通知書」の交付が求められる。
・感染症対策という面では「感染症法」に基づく対策が求められるとともに、「旅館業法」では公衆衛生の確保に努めなければならない。
・なおかつ、有料で部屋を貸し出して利益を得た場合には、当然、事業取得として申告をすべき納税の義務がある。

 このように、「空いている部屋を有料で貸しているだけ」という感覚で宿泊サービスをやっていても、「Airbnb(エアビーアンドビー)」という行為は、現在の日本においてはすべからく法律の規制の対象となるということです。

 サービス提供者にとっても、利用者にとっても、適法とか違法とかいう認識はない、いわば法に抵触している認識はないと主張しても、実態としては現行法の範疇にある限り、行政指導、処罰の対象となるなど、法律の規制の対象になるということです。まず、このことを押さえておく必要があります。

 そこで、私は今回の質問で、以下の見解を示し、県当局に対応を求めています。

 「Airbnb(エアビーアンドビー)に対しては規制をかける反面、旅館業法上の例外規定を設けるとか、様態によっては規制を緩めるなどの対策が講じられるべきだと思います。」

 今回の質問ならびに要望に対し、県として、速やかに法的見解ならびに方針、対策を出すよう上級官庁(厚生労働省)に働きかけるという回答でした。

 今日、「Airbnb(エアビーアンドビー)」に関して言えば、実態に対して法律が追い付いていないというというのが現状です。

 したがって、国は速やかに「Airbnb(エアビーアンドビー)」に対する法的対応、すなわち見解、方針、対策を示すとともに、「旅館業法」ならびに関係法令に基づいたとしても、規制と緩和の両面から対策を講じることが必要だと考えます。

 すなわち、「Airbnb(エアビーアンドビー)」に参入しやすくする半面、業として認める以上、業の許可と営業の届け出、保健所等の定期立ち入りに加え、オーナーが違法行為を発生しないよう自覚意識を高めることが大切だと思います。

 これらがあって、はじめて「Airbnb(エアビーアンドビー)」は大手を振ってサービス提供できるようになります。

 「Airbnb(エアビーアンドビー)」という宿泊サービスの否定ではなく、宿泊業として参入する以上、合法性を得る(合法的根拠)ことが必要です。それらを得た上で、はじめて税制上の措置、許可要件の緩和などの施策を獲得することができるようになります。

以上

 

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