韓国経済ウォッチ~注目を集めるフィンテック(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
IT技術が発達するにつれて、新しい用語がどんどん登場している。「モノのインターネット」「ビッグデータ」「ウェアラブルコンピュータ」、そして「フィンテック(FinTech)」など、以前には聞いたことのない用語が増えつつある。皆さんは、別にIT業界に従事しているわけでもないので、そんな用語とか概念はわからなくてもいい――と思っているかもしれない。しかし、果たしてそうだろうか。
IT技術は我々の生活のなかに深く入り込んでいて、それを理解し、十分に使いこなすことはとても大事である。それに、それを理解しているのと、理解していないのとでは、雲泥の差である。それを理解していると、今後、世の中がどちらの方向に向かっていくのかも予測できるにことなる。
そのため今回は、最近、韓国のマスコミに頻繁に登場するようになったフィンテックについて、フィンテックとはどのようなもので、今後、韓国経済にどのような影響をもたらすかを考えてみたい。皆さまは、「フィンテック(FinTech)」という用語を知っているだろうか。フィンテックとは「Finance」と「Technology」とを掛け合わせた造語で、IT技術を活用した新しい金融技術、またはそのビジネス、それから、その分野で活躍するベンチャー企業を指す言葉である代表的な事例を挙げるならば、モバイル決済、モバイルでの振り込み、モバイルを活用した資産管理のようなもので、最近のIT技術を駆使して誕生した金融の新領域がこれに当たる。
以前は、クレジットカードで決済していたものを、スマホで決済をしたり、銀行にわざわざ行かずともスマホの画面を何回かタッチすることによって振り込みをしたり、保険の外交員に会わなくても、情報を画面で確認しながら保険に加入したりなどなど、フィンテックは我々の生活に変革をもたらしている。
このような簡単なサービスだけでなく、フィンテックは広範囲にわたって今後、金融の秩序を根底からひっくり返すかもしれない。その可能性に向けて、世界的に多くのベンチャー企業がこの世界に続々参入している。アクセンチュアのレポートによると、直近5年間のフィンテックへの投資額は急激に増えている。世界的には、2009年の投資額は約9.3億ドルであったのに対して、13年には約29.7億ドルになっており、3倍以上の拡大を見せている。とくに、フィンテックに対するベンチャーキャピタルの投資には、目を見張るものがある。
このビジネスには、既存の金融機関をはじめ、VISAのようなクレジットカード会社、アップル、サムスンのようなIT系の会社もベンチャー企業を支援するかたちで、この市場に熱い視線を送っている。
IT技術が発達し、スマホの普及が進んでいる韓国では、この分野の可能性にいち早く注目しており、“金脈”を当てようとしている。(つづく)
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