「不招請勧誘」をめぐる読売新聞vs消費者庁(中)~衝撃的な抗議文
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笑われた読売はさっそく、その5日後の6月15日、読売新聞グループ本社取締役社長室長の永原伸氏の名前で、菅義偉官房長官に対して「専門調査会の複数の委員らが声をあげて笑う場面が続き、議事運営にあたる座長が制止しないばかりか、それに同調する不当な議事運営が行われました」と苦言を呈する抗議文を送付した。
同抗議文には、6月10日の専門調査会の模様をテープ起こしし、「一部委員笑い」「爆笑」などと6回笑われたことを明記している。内閣全体の扇のかなめ役である菅官房長官に、事の次第をチクったのだ。読売らしい手法と言えよう。さらに読売は永原室長名で同日、消費者行政を所管する山口俊一担当大臣、河上正二消費者委員会委員長、板東久美子消費者庁長官あてにも、内容証明郵便で抗議書を送りつけた。それによると、「民間事業者の意見を真摯に聞くというヒアリングの場において何度も笑い声をあげた(専門調査会の)村千鶴子座長代理らの行為に問題があり、専門調査会に出席した民間事業者(読売の山口氏のこと)を愚弄するものだ」とし、謝罪とともに公式な文書による回答を求めている。
読売はすかさず新聞業界紙「ジャーナリスト新聞」に永原社長室長がインタビューで登場し、長年政治記者として働いてきた永原氏自身「こんな異常なヒアリングは過去一度も見たことがない」「新聞業界を最初から規制対象にする『結論ありき』の姿勢ではないか」と持論を展開。さらに月刊情報誌『FACTA』が、「イクメン課長が『消費者庁暴走』の元凶」という見出しで、消費者庁の名物課長の山田正人取引対策課長こそが規制強化の首謀者であると名指しで嘲笑し、読売を援護射撃した。
一方、週刊文春、週刊現代、週刊ポストは消費者庁擁護のスタンスを示して、逆に読売の体質を批判。事態は一般の知るところとなった。ただし消費者庁記者クラブは「事なかれ主義」に徹し、沈黙している。読売の抗議文に驚いたのは、消費者庁の事務方たちだった。その多くは旧経済企画庁や旧総理府出身の「お公家様」体質で、争いごとを好まないゆえ、庁内には厭戦ムードが広がってゆく。「政策としてスジが悪い。数百万円を奪う悪質業者と、たかだか月4,000円程度の新聞を一緒に一律規制するのはおかしい」と内閣府幹部は漏らし始めた。
そんな腰が退け気味の消費者庁に追い打ちをかけるかのように、6月24日、読売は永原氏の名前で2度目の抗議文を送りつけた。
そのなかで、「抗議書の存在がなぜかネットメディア、週刊誌等に知られることとなり」、それらによって山口氏が批判的に報じられたことに違和感を呈したうえで、読売への回答を早期に送るよう促している。消費者庁からの情報漏れを牽制したものと見てよかろう。ついに、河野正二委員長は持ちこたえきれなくなった。同日あった第7回専門調査会の冒頭、「民間事業者の方に不快な気持ちを抱かせたとしたら誠に申し訳ありませんでした」と陳謝し、読売に全面降伏。白旗を掲げたのであった。
(つづく)
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