太平水産、第三者破産により倒産(3)
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(有)太平水産
2008年、アメリカのサブプライムローン問題によりリーマン・ショックが起こり、世界的な金融危機に発展した。日本の流通業界も大きな打撃を受け、魚価も暴落。10年8月から13年2月までの約2年4カ月、景気低迷の煽りを受けていく。
このような状況下で、ブリ類養殖業自体も08年度より漁労所得が赤字続きとなり、12年度は個人事業主が671万円、企業が2,342万円の赤字となるなど“儲からない状況”が続いている。
背景には、餌代の高騰がある。ブリ・ハマチの養殖魚のエサは、日本近海で捕れるイワシやサバなど小魚からなる生エサが主食だ。まず、燃油の高騰で漁船が遠くまで漁に行かなくなり、漁獲高が上がらなくなった。また中国人向けの魚の輸出が増え、今まで養殖魚のエサに回っていた魚が人向けに拡販されるという事態が起こった。さらにマグロの養殖が各地で始まり、ブリ・ハマチの養殖まで生エサが回らなくなったという。
主食の生エサ以外に、おかずのような役割の配合飼料がある。海外輸入の魚粉とトウモロコシなど穀物から作られている。魚粉は、魚類養殖だけでなく養鶏・養豚用の畜産飼料としても利用されているため、魚粉の需要は世界的にも増大しており価格は右肩上がり。また08年からアメリカは地球温暖化対策に向けてバイオエタノールの利用を増やすことで、原料となるトウモロコシの需要が拡大され価格が高騰。日本の飼料用トウモロコシの多くは、アメリカからの輸入であるために昨今の円安のあおりを受け、養殖場や養鶏場には大きな痛手となった。
とくに個人事業主の場合はその影響が大きく、08年度に餌代が高騰したことで、漁労所得が1,016万円の赤字となっている。個人、企業共に養殖業において、漁労支出に占める餌代の割合は6割以上を占める。そのため、餌代の高騰が死活問題となるのは言うまでもない。(つづく)
【特別取材班】<COMPANY INFORMATION>
代 表:友野 千奈美
所在地:鹿児島市桜島赤生原町177-2
資本金:500万円
売上高:(14/5)5億6,200万円関連キーワード
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