違憲状態国会議員が安保法をつくる狂気(後)
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『一人一票上告理由書』(升永英俊著、日本評論社)
国会活動する正統性のない議員が安保法案をつくる狂気
<最高裁判事が「憲法を規範だ」と思っていない?そんなバカな?!>と思って読み進めると、その行き着く先という、2つ目の核心を、この本の「はしがき」は明らかにする。
「違憲状態の選挙で当選した国会議員に国会活動の正統性がない」。これは、最高裁判事5人が判決の補足意見で示した判断だ。
現在の日本は、正統性のない国会議員(違憲状態国会議員=国政の無資格者)が、法律をつくり、違憲状態国会議員である者のなかから首相を指名し、違憲状態内閣が最高裁長官を指名している。
著者の升永英俊氏によれば、【「国会の活動」の正統性の無い人々が、正々堂々と国家権力(行政権、立法権、司法権の三権)を行使している】【憲法完全否定の不条理】である。
今まさに進行している日本の異常事態とは、「国会活動の正統性のない違憲状態首相、違憲状態国会議員が、安保関連法案を国会で成立させるという、狂気の世界の出来事である」。閣僚からの「ナチスの手法に学べ」という発言もあり、集団的自衛権行使の安保法案を強行する安倍晋三氏の姿は、戦争前夜、ナチス・ヒトラーを連想させる。しかし、ヒトラー政権は合法的に成立し、ドイツの裁判所から違憲状態との判断を受けたわけではない。
国家権力の正統性がない安倍内閣は、ナチス以下である。官邸前や国会前で「違憲状態国会議員、法律つくる資格なし」のコールが起きる時、安倍内閣も安保法案もおしまいだろう。人事権という既得権を守る保身の疑い
この「はしがき」は、それだけではなく、一人一票をめぐる3つ目の核心を読者に投げかけることにした。あえて書くことにした升永英俊弁護士、いや「市民・升永英俊」の、並々ならぬ覚悟を感じた。これこそ、本当の「そこまで言っていいんかい」である。著者は、トラの尾をあえて踏んだ。一線を越えたのである。
国会活動の正統性の無い違憲状態国会議員が、違憲立法の安保関連法案を可決する、天地がひっくり返る異常事態である。それを「憲法の番人」が許しているのはなぜか。
著者の升永英俊弁護士は、最高裁長官の既得権を維持しようとする保身目的だと言われても仕方がないと指摘する。
憲法は、内閣が裁判官を指名・任命すると定めている(憲法6条2項、79条1項)が、過去69年続いた慣例では、最高裁長官が「後任の最高裁長官を実質的かつ不完全に任命する権利」「他の14名の最高裁判事を実質的かつ不完全に任命する権利」を事実上行使してきた。違憲無効判決を言い渡せば、その次の選挙で当選した国会議員によって首班指名され組閣される内閣が、憲法の条文どおりに人事権を行使するおそれがある。それを避けるという、既得権益維持・保身目的にある疑いは濃厚だ。【国会活動の正統性のない違憲状態首相、違憲状態国会議員が、安保関連法案を国会で成立させるという、狂気】を止めるのは、世論である。
(了)
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