韓国経済ウォッチ~ロッテのお家騒動はどうなる?(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
最近、日韓両国で、お家騒動で注目を集めている企業がある。日本では、ガムやチョコレートなどの菓子メーカーとしてよく知られている、ロッテという会社だ。
ロッテのスタートは、創業者重光武雄氏(辛格浩:シン・ギョクホ)が1948年に設立した(株)ロッテである。ロッテは韓国の企業でありながら、まず日本に会社を設立し、その後、日韓国交樹立の2年後に韓国にも会社を設立している。
韓国ロッテの場合は、製菓事業だけでなく、流通、ホテルなどを始め、石油化学事業まで幅広く展開している。とくに日本人観光客の定番スポットであるロッテワールドは、すでに日本でも知名度が高いし、2014年9月にオープンした第2ロッテワールドも何かと話題になっている。韓国ロッテは、資産規模で韓国財閥ランキング第5位になるまで成長している。創業者の武雄氏は、在日韓国人一世として日本で事業に成功しただけでなく、韓国でも大成功した経営者として、韓国でも評価が高い。
そのロッテグループで、親兄弟を巻き込んだ経営権をめぐる紛争が起きている。紛争は7月28日の午後にさかのぼる。ロッテは、資産規模が93兆4,000億ウォンに上る財界5位の巨大企業グループであるだけに、韓国ではテレビなどのマスコミを連日にぎわせている。
7月27日、ロッテ創業者の重光武雄氏は突然、新宿本社で取締役を招集した。集まった取締役に対して、武雄氏の長男である重光宏之(辛東主:シン・ドンジュ)氏は、取締役全員の解任を宣言した。ロッテHDの取締役のなかには、現在、韓国ロッテの会長であり、10日前の7月16日にロッテHDの代表取締役副会長になったばかりの重光昭夫氏(辛東彬:シン・ドンビン)も含まれていた。もちろん翌日になって、この企ては鎮圧されたかたちになったが、この騒動は終わったわけではなく、まだ続きそうだ。ところで、今後の行方を占う上で鍵を握るのは、やはり株であろう。ロッテグループは日韓にまたがって事業を展開していて、支配構造が複雑だ。韓国ロッテは、日本ロッテHDの20倍に達するくらい成長しているのに、現実は日本ロッテHDが20倍も大きい韓国ロッテを支配している構造になっている。
もう少し詳しく説明すると、韓国ではロッテホテルはロッテグループの持ち株会社のような存在だ。すなわち、ロッテホテルは、ロッテグループの主要系列会社の株式を多数保有している。ところが、そのロッテホテルの筆頭株主はロッテHDで、ロッテHDが事実上、韓国ロッテグループを支配している。さらにそのロッテHDの最大の権限を持っているところがある。光潤社という小さい印刷会社だ。このように、ロッテグループは屋上屋を架す複雑な支配構造になっている。
(つづく)
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