韓国経済ウォッチ~ロッテのお家騒動はどうなる?(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
それでは今回、なぜこのようなことが起きるようになったのか――。
創業者の武雄氏は、日本ロッテの経営は長男の重光宏之(辛東主:シン・ドンジュ)氏に、それから韓国ロッテの経営は次男の重光昭夫(辛東彬:シンドンビン)氏に任せようとしていたようだ。
ところが、長男の宏之氏は、昨年の1月9日にロッテHDの代表取締役副会長の職を解任されることになる。内部の事情に詳しい人の情報によると、業績悪化で責任を問われるかたちの解任だったようだ。しかし、副会長を解任された後も、宏之氏は父との信頼回復に努力を重ね、返り咲くチャンスをうかがっていたようだ。
そんなときに、弟が主導になって進めている中国事業の不振の情報を入手し、その事実を父に知らせ、長男が経営権を握るべきであると思っている姉の辛英子(シン・ヨウジャ)氏も同行して、今回の一種のクーデタを起こすようになったということだ。辛英子氏は、武雄氏が20歳前に日本にわたる前に、韓国で結婚した妻との間で生まれた娘だ。辛英子氏は、主力企業であるロッテショッピングの社長などを歴任した後、現在はロッテ奨学財団とロッテ福祉財団の理事長を務めている。また、ロッテの系列会社の株も保有している。一方、長男・宏之氏と次男・昭夫氏の2人の兄弟は、武雄氏が日本人女性と結婚し、その間で生まれた子供だ。つまり辛英子氏と2人の兄弟は、異母兄弟である。
創業者の武雄氏は誰に味方するかはまだはっきりしないが、姉は長男を支持し、母は次男の昭夫氏を味方しているようだ。今は次男の昭夫氏が有利な地位になっているようだが、経営権の紛争はどのような結末になるかは、誰の予断も許さない。
今回の背景には、外からはわからない、いろいろな要因があるだろうが、ロッテの親兄弟を良く知っている関係者は、次のようなことを言っている。
創業者の重光武雄氏は、企業を公開しない主義で、ロッテHDの株主の構成は、今でも明らかになっていないようだ。その反面、次男である昭夫氏は、野村證券のロンドン支店に8年間勤務した経験があり、上場などを通じた企業の成長を図り、積極的にM&Aなどを実施することによってグループを成長させている。そのような経営スタイルの違いが、今回の騒動の背景にあるかもしれない。
もう1つは、武雄氏は現役に執念を示していたが、高齢になるにつれて健康問題も浮上していて、それに対する配慮からこのようなことが起きているという解釈もある。(了)
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