戦後70年談話は「謝罪なし」「韓国軽視」の公算?!(後)
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米中アジアを重視、「未来が過去を規定する」
安倍首相による「戦後70年談話」は、8月10日以降15日までの間に発表される公算が強まった。談話の方向性について提言する首相の私的諮問機関「21世紀構想懇談会」は7月21日に最終会合を行い、提言に向けた文言の最終調整に入った。談話はどういった内容になるのだろうか。今回のコラムで占ってみよう。
演説から透ける談話の骨格先を見据えた動きも
安倍首相による戦後70年談話の骨格は、実は「すでに表明されている」と言っても過言ではない。バンドン会議60周年記念首脳会議(4月22日)での安倍首相演説であり、米国連邦議会上下院両院会議(4月29日)での安倍首相演説「希望の同盟へ」である。
前者で安倍首相は「侵略または侵略の脅威、武力行使によって、他国の領土保全や政治的独立を侵さない」というバンドン会議の原則を引用し、「この原則を、日本は先の大戦の深い反省とともに、いかなる時でも守り抜く国であろう、と誓いました」と言明した。
そして、米国議会演説では次のように述べた。「戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に、歩みを刻みました。自らの行いが、アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない。これらの点についての思いは、歴代総理と全く変わるものではありません」。
この演説から約3カ月。中国に対しては、側近であり外交中枢である谷内正太郎・国家安全保障局長を派遣し、「戦後70年談話」発表後の訪中を視野に、日程を調整している。一方、ユネスコの世界遺産指定をめぐって、またぞろ「歴史問題」で日本政府に対抗してきた韓国に対しては、目立った動きは見られない。
「戦後70年談話」の草案を書くキーパーソンは、懇談会事務局を務める兼原信克・内閣官房副長官補である。「戦略外交原論」の著書がある理論家肌の外交官だ。首相と同郷の山口県生まれ。駐韓公使の経験もある彼が、どのような「談話草案」を書くのか。談話は「戦後100年の世界」を展望したものになるだろう。お手並み拝見というところだ。
(了)
<プロフィール>
下川 正晴(しもかわ・まさはる)
1949年鹿児島県生まれ。毎日新聞ソウル、バンコク支局長、論説委員、韓国外国語大学客員教授を歴任。2007年4月から大分県立芸術文化短期大学教授(マスメディア論、現代韓国論)。
メールアドレス:simokawa@cba.att.ne.jp関連記事
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