小倉駅北エリアに新スタジアム建設(前)
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北九州市が新スタジアムの建設を開始した。1万5,000人収容できる海沿い、新幹線駅から徒歩7分という、全国で見ても類を見ない魅力的なスタジアムとなる予定だ。これにより、交通の便の悪い本城陸上競技場を本拠地としていたJ2ギラヴァンツ北九州の試合が、北九州市民にとって、より身近なものとなる。市民の生活に楽しさを与えてくれる、新スタジアムについてレポートする。
小倉駅北口エリアは都市の空洞
小倉駅は海岸線に近い駅である。小倉駅に降り立って人の流れを見てみると、1つの法則に気がつく。ほとんどの人が南口に向かって歩いて行くのだ。南口から出ると商店街、オフィス街、商業施設などがある。一方、北口に向かう人は少ない。北口は海に近いため、ホテルが数件、商業ビルが1棟、少し離れて総合病院があるくらいのものなのである。人の足が向きにくいエリアであった。
かつては鉄鋼業の荷卸しなどに使われていた港湾地区。その後、その北九州での事業に合わせて更地となっていった。駅に隣接しているという利便性の高さにもかかわらず人の往来が少ない「都市の空洞」とも言えるエリアのギャップは、長らく北九州のにぎわいの影とも言われてきた。その開発がいよいよ本格化する。新スタジアムの建設である。現在、新スタジアムは建設に入っている。そのいきさつを俯瞰する。2001年、北九州市にサッカーチーム・ニューウェーブ北九州が生まれ、九州リーグに参戦した。ニューウェーブは07年、九州リーグで優勝を飾る。12月にはJFLに昇格、翌年にはJリーグ準加盟となる。サッカーが盛り上がりを見せるなか、最初のアプローチは4月だった。サッカー・ラグビーの関係団体から球技場建設の要望が市に提出されたのである。08年、北九州市は市の基本計画を策定し、プロスポーツに対応できる高規格施設の検討を開始した。
新施設の検討が始まるのと時を同じくして、市民のスポーツ熱は加速していった。09年11月にJFL4位を記録したニューウェーブがJリーグ昇格となった。チーム名をギラヴァンツ北九州とし、12月、北九州市初のプロスポーツチームとなった。10年1月、新スタジアム候補地が小倉駅北口地区、スペースワールド園内、八幡駅北口の3カ所に絞られ、11月には新スタジアムの方針が発表される。その後、2回の公共事業評価を経て、12年7月に小倉駅北口エリアに決定された。そもそも、北九州市には大規模なプロ球技を観戦する施設がなかったのである。本城陸上競技場は立派な施設ではあるが、収容人数が1万人程度。JリーグJ1のホームスタジアムの規定は1万5,000人以上収容であることに加え、国際大会の会場となるためには2万人程度の人員を収容できることが必要なのだ。さらに、本城陸上競技場ではトイレ、ドーピング検査のための部屋、更衣室などが不足している。
そこで新たなスタジアムの案がサッカー・ラグビーの関係者から上がった、というのが発端だ。本城陸上競技場を改築する、という案もあったが、取り壊しの費用がかさんでしまうことがあり、収容人数2万人以上を想定した新スタジアムを新設することにしたのである。(つづく)
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