旧帝国海軍の伝統が生み出した自衛隊初の簡易入札制度(後)
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海上自衛隊 佐世保地方総監部
自分ができる仕事を選んで入札できる簡易入札制度「オープンカウンター方式」が、昨年10月から海上自衛隊佐世保地方総監部に導入された。地元業者を中心に、同制度の認知が高まっており、今や、日々、調達リストをチェックする業者は珍しくないという。同制度は、九州・沖縄の中小企業を対象としており、これまで取引実績のなかった事業者にもビジネスチャンスが広がっている。
新制度の導入で地域経済へ貢献
2010年に発覚した航空自衛隊の事務用品調達をめぐる官製談合が発端となり、再発防止の1つとして、内閣府(有識者委員会)は、自衛隊にインターネット上での調達(カタログによるネット通販)を提言した。ネットでの一括購入は、その量の多さから大手でしか対応ができないため、これまで発注していた地元業者とのつながりを断つことにつながる。
「軍港の地域経済に重きをおく旧帝国海軍からの伝統を守るためにも、公正性、透明性および競争性を保つ新しい仕組みを考える必要がありました」とは、総監部契約課の鈴木紀貴課長。内閣総理大臣が議長を務める行政改革推進会議が、少額の随意契約の改善策として評価していることに注目、従来の「見積もり合わせ」とは異なり、より多くの事業者の参入が可能な「オープンカウンター方式」の導入を検討したという。
「オープンカウンター方式は、特定の事業者を指名しないという公平性および透明性と、多くの事業者が参入できることで競争性を保つほか、国の中小企業育成施策に貢献し、地域コミュニティーとの連携の強化を示す防衛大綱にも沿ったものだと言えます」(鈴木課長)。個人商店でも対応が可能な量の物品の発注もあるため、縁がないとあきらめていた事業者も積極的に参入。より多くの事業者が総監部の仕事を受けることで、基地と地域(事業者)のつながりも広がっているという。
新制度の導入によって、予想外の効果も見られているという。たとえば、デジタル体重計を発注したところ、家電、什器、医療器具、船用工具、スポーツ用品など、それぞれ異なる品物を扱っている業者から参入があった。業者を指名している時に比べて、格段に商機が広がっていると言えるだろう。一方、すべてがオープンになったことで、役務においては、「これまで受注していた作業よりも、自社が得意とする内容の作業があった」という声も寄せられたという。ミスマッチの防止にもつながることが考えられる。
旧帝国海軍の伝統が生み出したと言える簡易入札制度「オープンカウンター方式」。その調達リストは、佐世保地方隊(関連リンク参照)のホームページで誰でも閲覧することができる。参考までに一度チェックしてみてはいかがだろうか。
(了)
【山下 康太】▼関連リンク
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