2024年12月23日( 月 )

顧客第一主義の建築業者、不動産仲介・賃貸業へ進出(後)

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(株)九州住建

 住宅建築のリフォームや設備工事で基盤を築いた(株)九州住建。かねてより「快適」かつ「エコロジー」をキーワードとするより良い「環境」を顧客に提供することを大切にしている。14年まで太陽光発電などの電力買取制度を利用したECO環境促進事業などを積極的に展開してきたが、主軸を本来事業である建設業に置くことで、さらに時代に合った事業スキームを構築しようとしている。

周囲の環境も不動産価値として重視

(株)九州住建 代表取締役 笠 俊治 氏<

(株)九州住建 代表取締役 笠 俊治 氏

 また「不要な土地や物件がある」という不動産所有者には土地などの活用法を助言する。不動産の名義が替わるのは売買だけではない。ときには相続という、顧客の家族問題に深く関わる事例も生じる。これに責任を持って対応するために、同社の社員たちは相続知識検定マスターの認定を受けるなど、積極的に学んでいる。向学心は皆旺盛で、自主的に宅地建物取引主任の資格取得を目指して勉強する社員も増えている。

 購入した物件を販売するにあたっては、周囲の環境にも目を配る。住宅を購入するということは同時にその周辺の「環境」を買うのと同じ。顧客に対しても個々の生活スタイルに合った環境に住まいを構えてほしいと考えているからだ。これもまた「より良い環境の提供」というテーマにつながる。そこには「家を買うということは、建物と同時に環境を買うということではないか」という発想がある。

 同社が立つ糸島市は自然に恵まれた豊かな環境で、同社としても新規販売市場価格2,200~2,300万円とも言われる糸島地区で自社の建築物が自然環境と共にブランド化されることを望んではいるが、一番大切なのは顧客にとって便利であるかどうか、ということ。さまざまなライフスタイルを想定しながら糸島市以外の不動産物件も積極的に売買・仲介する。福岡市中央区荒戸のマンションをリフォーム、リノベーション販売した際は、都心ならではの公共交通機関へのアクセスや買い物など日常生活の便利さのほか、生活に潤いを与える話題スポットの存在や騒音問題にも目を留めた。

親しみを感じさせる社風をHP上でも公開

 同社代表取締役の笠俊治社長は、自身で会社を設立したときからエンドユーザー不動産に手厚いメンテナンスを施すことで資産価値を高め、次世代に継承できる財産とすることに意義を見出してきた。それは笠社長が掲げる永年のテーマ「顧客第一主義」に沿うものである。九州住建独自の顧客管理システムを立ち上げたのも、そのためだ。いつどのような工事(リフォームなど)を行ったかの履歴が一目でわかるように『住宅のカルテ』を提供するというシステムで、この活用により売り手は資産価値の鉱場や管理の簡易化が図れる。買い手は、住宅の現状をよく知る同社を頼りにしながら、その後も良い状態に住宅を保つことができる。また、同社の施工やリノベのビフォアアフターなどと一緒に、社員の日常の仕事内容やキャラクター紹介などの紹介をHPで行い、『住宅のカルテ』に携わる社内スタッフへの親近感を覚えるような情報発信も行っている。この情報にはエンドユーザーには馴染みがない建設業の営みが、顧客目線でわかりやすく示されており、ショールームを兼ねる本社へ気軽に足を運びたくなるような効果も期待できる。

 不動産事業を立ち上げたことで、さらにその売買についても責任をもって携わることができるようになった。同じ糸島市にある二丈町にモデルルームもオープンした。今後は顧客管理システムを付加価値として活用することで、顧客の囲い込みはもちろん、「志をもって顧客の住宅をトータルサポートする」という企業理念を確かなものにしていくことができるだろう。

(了)

<COMPANY INFORMATION>
(株)九州住建
代 表:笠 俊治
所在地:福岡県糸島市前原東1-6-3 双栄ビル1F
設 立:2002年5月
資本金:2,000万円
TEL:092-332-1231
URL:http://www.q-j-k.co.jp

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