小倉駅北エリアに新スタジアム建設(後)
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「スタジアムは50年程度の耐用年数があります。街ににぎわいを取り戻すきっかけになってほしいですね」。
北九州市建築都市局建築部建築課スタジアム整備担当課長の渕上忠彦氏はこう語った。2万人を収容できるスタジアムとして企画はされたものの、計画は少し縮小されるかたちでスタートした。敷地面積の関係で、2万人収容するためには海にせり出さなくてはならない。すると建築費用が跳ね上がる。また、日常的な使用目的はギラヴァンツの試合が主なものであるため、2万人に最初から収容する施設をつくる必要はないと判断し、1万5,000人収容の施設とすることを決定した。ただし、将来的には海側にスタンドを拡張することができるように設計されている。PFI方式による民間技術の活用による入札が行われた。入札の結果、九電工グループが107億円(設計・施工、完成後15年間の維持管理運営費を含む)で落札。現在、建築工事が行われている。17年3月から供用が開始される予定だ。ちなみに現在のギラヴァンツの試合の平均的な観客数は3,500名程度だという。これは、本城陸上競技場のアクセスの悪さなどが少なからず影響をおよぼしているとされている。駅から近い場所に拠点を移すことで、倍の集客を見込んでいる。そうすることで市民チームとしてギラヴァンツを浸透させていき、市の魅力を高めていきたい考えだ。また、観客数が増加することでギラヴァンツの経営的な面での底上げを行い、より良い環境でサッカーができるようにし、よりレベルの高い試合を北九州市民に見せてくれることも期待されている。
「いきなりJ1に上がることを考えるのではなく、まずは地元の人気を高めていってほしいです。そして力をつけて、J1に昇格してほしいですね。スタジアムのキャパシティはJ1でも対応できるようになりますから」(渕上課長)タッチラインから8mの迫力
新スタジアムにはスポーツ観戦を盛り上げる仕組みを多く取り入れている。たとえば、観戦席の最前列はタッチラインから8mしか離れていない。選手の息づかいまで感じられることだろう。また、最前列はピッチとほぼ同じ高さに設定されているため、選手と同じ目線で試合が楽しめる。スタンドの観客席は斜度37度と、かなり角度がついていて、のぞきこむように俯瞰して試合を観戦できる設定も魅力的だ。真上から見下ろすように選手の配置、その動きを観戦するのも、サッカーファンにはたまらないだろう。
また、環境首都を標ぼうする北九州市としての特徴づけも忘れていない。客席屋根には50kWの太陽光発電施設を設置し、再生可能エネルギーを生み出す。JR駅に近いということも、自家用車で訪れる必要がないという点で低炭素社会に貢献できるとしている。新スタジアムにはこういった工夫が凝らされているのである。
全面芝のスタジアムとなるため、芝の養生の必要もあり、イベントを詰め込み放題にできる、というわけではない。年間最大約70日程度の活用が見込まれている。ギラヴァンツのホームグラウンドとしてだけでなく、子どもたちのスポーツイベントやパブリックビューイング、音楽イベントなどにも活用していきたいとしている。
スタジアム建設により小倉駅北口ににぎわいをつくり、北九州市全体に活力を生み出したい考えなのである。
新スタジアム整備にともない、近隣には緑地公園を整備したり、すでにある「あさの汐風公園」と連携させたりして、相乗効果も狙っている。市民に身近な憩いの場所としての活用を目指しているのだ。北九州市は今、人口減少のなかにある。若者を多く呼び込み、楽しめる、住みたくなる街にすること。その1つのアイディアが、北九州の新スタジアムなのである。今、北九州市はギラヴァンツのユニフォームであふれている。多くの店舗の店員たちがギラヴァンツのユニフォームを着て、応援しているのだ。2017年、小倉駅北側エリアに生まれる新スタジアム、そしてギラヴァンツがより身近になることに、北九州市民は大いに期待をしている。
(了)
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