「マイナンバー制度は違憲」と、12月に一斉提訴へ
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2016年1月から運用が始まるマイナンバー制度に対し、「憲法の保障するプライバシー権を侵害する」として、全国各地の市民らが運用差し止めを求める訴訟を全国で、一斉に提訴することが8月28日、明らかになった。12月に、仙台、東京、新潟、金沢、名古屋、大阪、福岡の7地裁で提訴する予定。
マイナンバー制度は、今年10月に日本に住民票があるすべての人にマイナンバーが郵送され、2016年1月から運用が始まり、税や社会保障などの個人情報と紐付けられる。マイナンバー改正法が今国会で成立の見通しになり、利用対象が拡大し、個人の預貯金口座の情報とも紐付けが可能となる。日本年金機構の個人情報流出が起きたため、情報漏えいへの不安が高まり、改正案の審議がストップ。基礎年金番号との接続を先送りする修正などを経て、27日、参議院内閣委員会で改正案が可決された。
提訴準備の中心で日本弁護士連合会情報問題対策委員会副委員長を務めた水永誠二弁護士は、取材に対し、マイナンバーの問題点として、情報漏えい、マイナンバーをマスターキーにした個人情報の名寄せ、なりすましの3点をあらためて指摘。「年金情報流出に見られるように、漏えいの危険がある。しかも、マイナンバーは、税や社会保障の手続きに活用するために、約410万企業5,000万人従業員の税や社会保障のデータベースがつくられる。行政だけでなく民間も扱い、漏えいの危険が高まる。マイナンバーは原則、生涯不変なので、マイナンバーをマスターキーにした個人情報の名寄せにより、プライバシーへの影響が大きい。いったん漏洩すると、『なりすまし』の危険がある」と警告する。
水永弁護士らは、裁判を通じて問題提起し、制度の再検討をうながしたい考えだ。共通番号がいらないネットと協力するなど(東京)、各地でマイナンバー差し止めの取り組みを進めていく動きだ。マイナンバーの郵送を目前に控え、中小企業からは、マイナンバーの収集や管理などの手間が増え、情報漏えいのリスクを抱える一方、「メリットがない」という意見が出ている。マイナンバーの管理や情報保持のシステム導入・システム修正などのコスト負担を絞り出せるほど、アベノミクスの恩恵が地方に回っていない。6月段階の調査(日本商工会議所)では、6割以上が対応が進んでいなかった。民間調査機関の調べでは、6割以上がメリットがないと回答。デメリットとして、情報漏えいリスク(53.5%)、業務の煩雑化(14.9%)、業務量増加(11.9%)、コスト増加(7.8%)を挙げ、「デメリットはない」はわずか8.6%だった。
【山本 弘之】
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