韓国経済ウォッチ~サムスン電子の株価下落(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
サムスン電子の第3四半期のスマホ部門の営業利益は2兆2,900億ウォンの予想で、第2四半期の2兆7,600億ウォンより減少が見込まれている。いろいろな手を打っているにもかかわらず、スマホ事業の業績は上向いていないし、見通しも明るくないのが実情である。このような結果は、アップルとの競争が激しくなっていることに加え、低価格スマホの投入で販売価格が下がったことが影響しているようだ。
このようにスマホ事業が苦戦しているなかで、幸い半導体部門は業績が伸びている。サムスン電子は第2四半期も半導体部門の好調で、スマホ事業の不振をカバーしているような格好である。売上高ではまだスマホ事業は半導体部門の2倍以上あるが、営業利益ではすでにスマホ部門は半導体部門に追い抜かれている。半導体の好調は当分の間、続きそうだ。
サムスン電子は半導体での地位を強化するために、2017年までに15兆7,000億ウォンを投資することを決定している。今後、追いついてくることが予想される中国企業との差を確保するためである。しかし、巨額の投資で将来に備えているものの、半導体事業もこのような好調が続くという保障はどこにもない。メモリ半導体市場で2位になっている韓国のSKハイニックスも最近、莫大な投資計画を発表した。今後10年間、nandフラッシュ事業などを強化して競争力を確保するため、半導体工場を3つ追加建設するなど、46兆ウォンの巨額投資計画を発表している。SKグループも今後、半導体事業をグループのコア事業として育てていくのに強い意思を示している。
これだけではなく、DRAM市場で3位のシェアを持っている米・マイクロン社も、インテルと提携して3Dクロスポイントというまったく新しい方式のメモリ半導体を量産することに合意したと発表した。この新製品の特徴は、電源を切っても情報が保持されるnandフラッシュメモリの特徴と、データ処理のスピードの速いDRAMの特徴を兼ね備えていて、メモリ市場に地殻変動をもたらしかねない可能性を秘めている。その一方、半導体は景気に敏感で、サイクルがあるだけでなく、巨額の投資がともなう装置産業である。また、技術の変化にうまく追いついていかないと、いつ淘汰されるかもわからない競争の激しい世界でもある。次の成長産業が見つかっていないなかで、サムスン電子は半導体事業にもっと社運をかけようとしているようだ。
サムスン電子が抱えているこのような内部問題と中国経済の減速のような外部要因に、今後、どのように対応していくのかに注目が集まっている。
サムスン電子はノキアのような轍を踏むのか、それともブレイクスルーを起こすのか――。サムスンの将来は、それにかかっている。(了)
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