2024年11月24日( 日 )

奢るヤマダ電機久しからず(4)

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1.当期純利益について
 家電量販店当期純利益ランキング【表1】を見て頂きたい。

表から見えるもの

(1)実績について
・非公開のヨドバシカメラを除く9社のうち、当期純利益のトップはケーズHDで150億円。消費税引き上げの影響を受けて減収減益となったものの、その落ち込みは少なく、前年の2位からヤマダ電機を抜いて第1位の座を射止めている。その大きな要因は純利益率がヤマダ電機の0.56%に対して、約4倍の2.35%と高いことが挙げられる。
・第2位はビックカメラで98億円。ビックカメラの決算は14/8月期だったため、消費税引き上げはプラス要因だったが、15/8月期はその反動もあり、減収微増益予想となっている。コジマを含めたグループ全体でも109億円と、ケーズHDとは大きな差があり、収益力の強化が今後の大きな課題と言えそうだ。またグループの売上高は1兆921億円で、1兆円を突破しているものの、ヤマダ電機グループには遠く及ばない状況になっている。
・第3位はヤマダ電機で93億円。首位の座を守っていたが、今回3位に転落。ベスト電器を含めたグループ全体でもビックカメラグループと同額の109億円と低迷している。
 ただヤマダ電機グループの売上高は1兆8,394億円で、トップテンの売上高合計5兆6,809億円の32.3%を占めており、その存在感は今も健在だ。
・第4位はエディオンの49億円で、以下5位ノジマ、6位上新電機、7位ベスト電器、8位コジマ、9位キタムラと続くがいずれも50億円以下となっており、上位3社との収益格差は大きい。

(2)収益予想について
・第1位はヤマダ電機の254億円(前期比161億円増)と大幅な増益予想。不採算店舗の閉鎖に伴うイメージダウンなど取り巻く環境は大きく変化しており、まさに正念場を迎えていると言えよう。
・第2位はケーズHDの168億円(前期比18億円増)と安定した収益予想となっている。3位はビックカメラの102億円(15/8月期 前期比4億円増)と続く。
・ヨドバシカメラを除く9社のうち減益予想はコジマだけで、15/8月期の当期純利益は4億円(前期比▲7億円)。期初21億円(前期比10億円増)の予想から一転して減額修正するなど、ビックカメラグループの収益環境は厳しさを増しており、ヤマダ電機グループとともに、今後の動向に注目が集まっている。
・4位にノジマが躍進。エディオンの75億円(前期比53.1%増)を大きく上回る98億円(前期比172.2%増)を予想している。ノジマは先月、閉鎖したヤマダ電機の跡地を含め、首都圏を中心に計10店前後を出店する計画を発表。売上高は2,441億円から4,520億円(前期比(85.2%増)とほぼ倍増する強気の計画を立てており、上位グループの目安とされる5,000億円突破を目指す。その裏には将来予想される経営統合で、優位な立場を確保するための布石と見られ、その成否が業界再編の鍵を握ることになりそうだ。

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(つづく)
【北山 譲】

 
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