高島市長、市立幼稚園全廃!住民無視、教育委軽視
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福岡市の高島宗一郎市長が9月10日開会の福岡市議会に市立幼稚園を全廃する条例案を提案し、「名ばかり住民説明会」による住民意見無視、教育委員会の独立性軽視が問題となっている。
市立幼稚園は現在8つあり、条例案は、そのうち6つを2018年4月から廃園にし、残る2つを19年4月から廃園にする内容。市立幼稚園廃止は、高島市長の行財政改革プランが源流にある。福岡市は、2013年2月に市立幼稚園の全廃方針案を公表し、保護者、地域住民などから反対の意見が出され、説明会やパブリックコメントを実施してきた。今年(2015年)6月に全廃方針が報道され、福岡市が6月議会第2委員会に報告するとともに、8月に住民説明会を開催していた。この日の本会議で、田中慎介(市民クラブ)、倉元達朗(共産)、池田良子(社民・市政)、森文子(緑とネット)の各議員が議案質疑し、「幼稚園一部存続」や「条例案撤回」を求めた。高島市長は「市立幼稚園としての役割を終え、施設については新たな子ども関連施設に活用」などと答弁し、全廃の姿勢を変えなかった。
教育長は「繰り返し丁寧に説明し、時間をかけて議論したもの」と答弁したものの、両議員の質疑では、幼児教育や幼保連携促進の必要性から市立幼稚園廃止の正当性に疑問が出るとともに、9月議会への廃園条例案上程に至る経過の不透明さが浮き彫りになった。
教育委員会議前に市政運営会議で廃園条例案決定
不透明さの1つは、条例案の決裁過程そのものだ。
教育委員会は9月1日に教育委員会議を開催し条例案上程の意思決定をした。ところが、福岡市は、所管の教育委員会の意思決定を経ることなく、その前の8月25日に市政運営会議を開き、高島市長らが廃園条例案の9月議会上程を決めていた。
倉元議員は「順番が逆だ。教育委員会は、教育の自主性を保障するため、意思決定を官僚ではなく教育委員に委ねたもの。首長からの独立から問題があり、条例案提出自体が不適切だ」と指摘した。市が「教育委員会が否決すれば、上程しなかったので問題ない」(総務企画局長)と答弁したのに対し、倉元議員は「先に事を決めてどうぞ判断してくださいと促すのを、『圧力』と言う。そうやって教育への介入が始まる」と反論した。廃園の結論先にありき、名ばかり住民説明会
福岡市が開催した住民説明会は8月7日~31日ののべ12回。福岡市が廃園条例案の上程を決めたのは、住民から意見を聞いている最中の8月25日。しかも、9月議会に廃園の条例案を出すとは説明していない。問題は順番が違うだけではない。
倉元議員は、住民説明会の初日の8月7日には教育長が廃止条例案の上程について決裁していたことを明らかにした。「説明しますと言って人を集めた。だけど、腹の中で、なんと言われようと結論は廃園に決まっている。こんな信義に欠ける行為を教育に携わる教育委員会がやっていいのか。子どもが真似をしたら大ごとだ」と指摘し、「名ばかり住民説明会で市民をだました」「住民の声を聞こうとしない異常な態度だ」と追及した。教育長は答弁の中で「8月の住民説明会で廃園を求める意見がなかった」と明らかにしており、住民から聞いた意見と市の方針決定には大きなギャップがあるというより、まったく正反対だ。
6月議会で、市民の意見を聞くように注文が付けられていた。それに対する高島市長の「解答」は、住民説明会で市民の意見を聞いている途中に、教育委員会議で意思決定されていないにもかかわらず、廃園条例案の上程決定だった。
民主主義のプロセスを踏んだのならば、9月議会に、「市民の意見を聞いた」結果の報告と、それに基づく検証があるはずだ。
市立幼稚園全廃をめぐって、議会初日の議案質疑で早くも、市が決めた方針を「強行」するために形式的に「聞き置いただけ」という高島市長の住民軽視の姿勢が示された。議会の会期は18日まで。各会派・議員による徹底審理が求められる。【山本 弘之】
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