「戦いは終わらない」~フツーの若者の安保法案反対(中)
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「FYM」のデモは、ちょぴりゆるい。名称が「安保法案いけんくない?!パレードデモ@福岡」。政党や団体の旗は掲げない、着ぐるみOK、コールに強い言葉は使わない、デモ前の集会でスピーチし、デモが終わった後も参加者が発言する…。
9月13日、警固公園で開かれたデモ前の集会で「安倍さん、ありがとう」とスピーチしたのが、大学4年生の渡邉晶さん(22)だ。
すでに、大学教授や大学生の間で、この言葉は流行り出していた。彼女にとって、集会での初めてのスピーチ。しかも500人以上が集まった前で、それを公言した。「今日、言っちゃおうと思っていた」と、記者に打ち明けた。
それだけ大きな変化が彼女自身のなかにあり、安保法案が成立した後にも終わることのない現象が、彼女自身にも周りにも起きていたからだ。渡邉さんは、この数カ月間で、自分が「無知で無関心な若者だった」と気付いたという。「これまで私のなかで、高校の歴史の勉強と、現実がつながってなかった」と話す。
「きっかけは安保法案に反対することだけど、この問題は、人権や差別、ヘイトスピーチ、格差社会・貧困に関連してつながっている。安保法案は、中国が攻めてくる、北朝鮮に攻撃されるという話とセットで、そこには中国人たちへのヘイトスピーチがあるし、軍事費が増えると、福祉が削られかねない」と、さまざまなテーマが派生してきて、話が尽きない。
「政治って遠く感じるが、一つひとつは自分の生活につながっている。安定して生活するために政治があると、政治を自分のことと考えられるようになった」と言う。格差社会のなかで、母子家庭など、生きることに必死で考える余裕のない人がいることにも目を向けている。「私は、考えることができる余裕があって、恵まれている」「(権力者に)憲法を守らせるためには、声を大にして言い続けないといけないと感じた。戦争を体験し『戦争してはいけない』『9条を守れ』と言い続けてくれた世代が少なくなり、憲法を守らせる力が小さくなってきていたのに、憲法12条の『国民の不断の努力によって』を私がしてなかった。無関心だったから、こうなったんだと気付いた」と語る渡邉さん。
9月13日の集会では「与党の態度を見て、今まで以上に腹が立ちました。やばいって思いました。この安保法案を知った時、今、この時が、平和の最後の砦だと思いました。この砦を守るために、何かしなきゃいけないって思いました」「この、自由で民主的なデモが行える幸せを噛み締めながら、今日は一緒に声上げていきましょう」と呼びかけた。
安保法案が成立しても、まだデモを行う自由も民主主義も奪われていない。
政府・与党は、9月16日の地方公聴会の後、参院特別委員会で採決を強行する構えだが、若者たちの戦いは終わらない。
視線の先には、安保法案反対後、もっと先を見据えている。(つづく)
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