中村県知事「事実解明し対応へ」~佐世保児相に突然引き離された親と子(7)
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長崎県・佐世保児相もう一つの「闇」
1年半ぶりの帰宅
2014年3月31日、家庭への訪問・調査を一切せずに一時保護とされ、養護施設に預けられた当時小学2年生の男児が、ついに8月21日に家族のもとへ帰された。男児は周囲の理解もあり、以前と変わらず、もとの小学校に元気に通学しているという。
佐世保児相は、同学年の子よりも背が低く、体重も軽い男児を養育不適切と判断。男児が食欲旺盛なことから、親が食べ物を与えていないとみなした。一方、男児の両親は、そもそも背が低い家系であること、他の姉弟と同様に食事を与えているが、アレルギーのある食べ物があるため、注意をしていたと反論。児相職員による家庭への訪問・調査を再三求めた。
しかし、児相側は、頑として家庭への訪問・調査を行わず、虐待を認めなければ、子どもを返さないという。その圧力に屈せず、支援者とともに我が子を取り戻すために男児の両親は関係法令を勉強し、ネットで情報発信を続けた。その熱意は、「たとえ選挙区外であろうと県民の声には耳を傾け、それが県民全体のためになると判断すれば全力で取り組む」という山田博司県議(改革21・五島)に届き、問題の解決に向けて大きな前進が見られるようになった。そして、今年8月21日、約1年半ぶりに男児は家族のもとへ帰ってきた。
男児が再び家族とともに生活を始めたのは、役所的には8月27日付となる。一時保護や施設への委託が解除された理由は、「家庭引き取りのため」。結局、男児の両親には児相からこれといった指導もなく、男児が帰宅する1週間前に家庭訪問が行われ、世間話をしただけという。佐世保児相ではセンター長、課長以下、人事が刷新されたが、とうとう男児を施設に入れた担当者たちは、1度も男児の家庭を訪れることはなかった。
施設の問題を県が調査
両親と姉、2人の弟と離れ離れになっていた約1年半、男児はどのように過ごしていたのか。男児が語る内容には、両親が児相から知らされていないものもあった。男児によると、14年9月末に発覚した男児の右大腿部の疲労骨折については、その2カ月後に施設から佐世保児相に報告があり、両親にも告げられていたが、実は、疲労骨折をしていたのは両足の大腿部。さらに聞いていないところでは、男児が施設でカニを食べてアナフィラキシーショックをおこして病院に運ばれたことや、インフルエンザに感染したことなどもあった。
山田県議は9月16日の長崎県議会一般質問で、男児が(1)施設で右大腿部を疲労骨折をしたこと、(2)疲労骨折がわかってから2カ月後に佐世保児相に報告があったことの2点について、調査を行うよう県に要望。中村法道県知事は「しっかりと事実解明をし、対応したい」と答弁した。長崎県の児相問題の本質に迫るうえでは大きな前進である。
【山下 康太】
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