子どもの笑顔と発展の熱気~カンボジア視察ツアー(3)
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福岡博多ライオンズクラブとデータ・マックスは13日から3泊5日、アンコール・ワット遺跡群を擁する都市・シェムリアップに滞在し、佐世保JCが寄贈したコーントライ中学校、データ・マックスが寄贈したトゥールポンロー中学校の卒業証書授与をはじめ、地雷博物館、日本語学校などの視察を行った。視察ツアーの様子をレポートする。
2日目:夢に向かって
夜が明け、朝7時。タ・プロームホテルのロビーにツアー参加者全員が集まった。この日の目的地は2つ。1つはコーントライ中学校、もう1つはトゥールポンロー中学校である。この2つの中学校はいずれも、日本の団体・企業の支援によってつくられた。そして、9月はカンボジアの卒業式の月である。今回の視察の大きな目的の1つが、この中学校の卒業証書の授与式だ。
シェムリアップからコーントライ中学校へ向かう。シェムリアップは、カンボジア随一の観光都市。市内の道路は比較的舗装されているし、街灯もところどころある。私たちのバスは国道6号線に乗った。かつては低所得者が暮らしていた、現在の高級ホテル街を抜けると、徐々に街並みが閑散となっていく。バスはいつしか、ただ、どこまでも広がる平原のなかを走っていた。雨季ということもあり、大小さまざまな水たまりが道の脇にある。水たまり、と表現したものの、一見すると沼だ。道路の脇には民家も間欠的にある。その庭先にも沼がある。パラソルの下でペットボトルに入ったガソリンを販売する店もちらほら見受けられた。バイク社会のカンボジアでは、2Lのペットボトルがバイクのガソリンタンクの大きさとちょうどマッチするため、ペットボトルでの販売が多いという。ただ、傍目から見ても、それぞれのペットボトルの内容物の色が違う。どうやら、純度はまちまちのようだった。道路は凹凸が激しく、ときおり腰骨が折れるのではなかろうかと思うほど揺れた。
約2時間、途中休憩をはさみつつ移動し、トゥールポンロー中学校に到着。まっさきに迎えてくれたのは牛の一団だった。中学校とはいうものの、平屋の建物が2つ、木でつくった枠がグラウンドの端と端に1つずつある、草原のなかの学校である。ちなみに、木でつくられた枠は、ときにはサッカーのゴールになり、ときにはバレーボールのネットになる、多目的な遊具だ。日本の中学校とは規模、施設ともにくらべものにならないほど質素だ。校舎には照明はなく、使い込まれたホワイトボードと壁には教材が張られている。窓ガラスもなく、風は吹き通しだ。
牛の一団を抜けると、卒業する生徒を中心に14名が出迎えてくれた。今回、ツアーの案内を担当してくれたカンボジア地雷撤去キャンペーンの大谷賢二代表が祝辞を述べる。次いで、佐世保JCから卒業証書授与式に参加した曽和秀徳氏が卒業証書を手渡す。表彰状などを受け取った経験がないのか、生徒たちは少しはにかんだような表情で不器用に受け取っていく。授与が終わると、曽和氏が生徒に語りかけた。
「卒業するみんなと会うのを楽しみにしていた。12名の卒業生を出せたことを大変うれしく思う。これから進学する人、就職する人、それぞれいると思うが、体に気を付けてがんばってほしい」。
祝辞を述べ、式は一通り終わった。曽和氏は生徒たちに聞く。
「みんなは将来、何になりたいの?」。
ある男子生徒は警察官になりたい、別の女子生徒は先生になりたい、また別の生徒は医者になりたい、とそれぞれの夢を語った。全員、高校に進学するのだという。この学校は「夢スクール」という別名を持っている。曽和氏は言った。「夢は人に話した方がいい。人に話せば、それを聞いた人が手助けしてくれる。これから夢に向かってがんばってください」。
(つづく)
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