福岡空港を取り巻く現状と未来図(1)
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都心に近く、日本一アクセスの良い空港として知られる「福岡空港」。羽田、成田に次いで国内第3位の旅客数および発着回数を誇るが、その半面で慢性的な遅延という問題を抱えている。その福岡空港をめぐっては、現在、空港運営の民営化や混雑空港への指定などの動きがあるとともに、滑走路の増設やターミナルビルの再整備なども計画されており、今後、新たなかたちへと生まれ変わろうとしている。福岡空港を取り巻く現状と、今後の整備計画等をレポートする。
本土防衛の基地から始まる福岡空港のあゆみ
福岡空港は1944(昭和19)年2月に、本土防衛の基地として旧陸軍により建設が着手された「席田(むしろだ)飛行場」がその始まりとなる。翌45年5月に222haの飛行場用地に600mの滑走路を備えた飛行場として完成するも、間もなく終戦を迎え、同年10月には米軍により接収されて米軍板付基地となった。
51年に、日本とアメリカの相互協力および安全保障条約の締結により、基地の提供が正式に決定。米軍の了解のもとに国内線の開設にともない民間飛行場としての使用を開始した。56年には民航ターミナル用地が米軍より返還され、民間航空ターミナルビルが建設。61年には福岡-東京間でジェット旅客機が就航し、65年には福岡-釜山間で国際線が開設された。72年には米軍より空港が全面返還され、運輸省(現・国土交通省)所管の「第二種空港」として福岡空港の供用が開始された。その後80年には、国際線旅客に対応すべく、国際線ターミナル地区の整備に着手。翌81年には国際線ターミナルビル(現・国内線第3ターミナルビル)が竣工した。92年2月には「福岡空港ターミナル地域整備基本計画」が策定され、同年10月には「福岡空港東側平行誘導路整備計画」が策定されるなど、福岡空港は現在地においてその機能を拡張すべく、さまざまな計画が立てられていった。
そして93年3月、福岡市営地下鉄が東側ターミナル地域へ乗り入れ、営業を開始。これにより福岡都心部から距離的に近いだけでなく、地下鉄を利用した交通アクセスの利便性も格段に向上した。99年には、現在の西側国際線ターミナルビルが供用開始した。そして現在、2012年からは国内線ターミナル地域再編整備(ターミナルビルのセットバック、平行誘導路二重化整備等)に着手するとともに、滑走路増設に係る環境影響評価の手続きに着手し、福岡空港は新たな姿へと生まれ変わろうとしている。
このような歴史を持つ福岡空港は現在、国土交通省が設置・管理する「拠点空港」として運営されている。空港面積は353haで、うち国有地が64.6%、民有地が32.5%、市有地が2.9%となっている。同空港では南北に配置された2,800mの滑走路の東側に国内線、西側に国際線のターミナル地区を配置。また、航空自衛隊のほか、米軍、海上保安庁、福岡県警、福岡市消防隊も施設を展開している。
(つづく)
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