韓国経済ウォッチ~クラウドによるオフィス革命(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
最近頻繁に耳にするようになった"クラウド"という言葉の意味を、皆さんは正確に理解しているだろうか。筆者もクラウドという単語を最初に聞いたとき、「雲」という単語からは何のイメージもわかず、それが何なのかピンと来なかった。
クラウド(クラウド・サービス)とは、今は個人だけでなく、企業などでも導入が増えているコンピューターの利用形態の一つで、IT用語である。利用者はインターネットに接続された機器を使って、インターネット経由でそのサービスがどこに存在するか意識することなく利用できるので、付けられた名称のようだ。クラウドの大きな特徴は、結論から先に言うと、利便性とコストの削減である。以前は自社でサーバーを購入し運営していたが、クラウドサービスを活用すれば、今はその必要性がなくなっている。従来はアプリケーションを購入して、自分のパソコンにインストールして使うのが常識だったが、今はその必要性もなくなっている。いつでも、どこにいても雲の中のソフトウェアまたはデータなどを利用できるサービスがクラウドである。従来は、利用者はコンピューターのハードウェア、ソフトウェア、データなどを、自分で保有、管理、利用していた。しかし、クラウドサービスが登場することによって、企業または個人は機材の購入、自前システムの構築、管理などのために人を雇ったり、手間と時間をかけたりすることを大幅に削減することができ、結果的に業務の効率化とコストダウンを達成できる。このように自社の専門領域ではないIT業務をアウトソーシングすることによって、本業にもっと集中できるというメリットもでてくる。
クラウドサービスの代表的な例としてはWebメールがある。Webメールの場合、ブラウザだけをインストールすれば、サーバーがなくても、それから自分のパソコンがなくてもスマホさえあってインターネットに接続されていればいつでもどこでもサービスを利用できる。ところが、最近韓国では、このクラウドを活用する企業が大手企業を中心に増えている。韓国ソウル特別市に本社を置く現代モビス(株)は先月から社員にできるだけプリンタを使わないようにするキャンペーンを展開している。それと同時に現代モビスでは社員にタブレットを配り、業務処理をタブレットを活用する方向に誘導している。
このような変化は、実は同社がクラウドサービスを導入してから生じた変化である。「文書中央管理システム」と呼ばれるこのクラウドサービスは、すべての文書は、中央サーバーに保存し、インターネット経由で共有または修正できるようにした。利便性とセキュリティ性を同時に向上させ、ペーパレスを実現するための布石である。クラウドサービスを導入してからは、個人のパソコンに文書を保存する必要がないので、大容量のデスクトップは要らなくなっている。現代モビスの社員はクラウドサービス導入の効果について、以前は会議をする前に資料をプリントアウトするために多くの時間を使っていたが、今はプリントアウトせずにみんなクラウド上で資料の検討をして会議に参加するようになったので、とても業務効率が上がっていると説明した。なお、ペーパーの使用量も60%近く減少したと付け加えた。
ここ数年、間韓国の大手企業を中心にクラウドサービスを導入するところが増え、業務革新がもたらされている。サムスンディスプレイ、サムスンSDS,SKテレコム、ポスコ、LG電子、GSカルテックスなどはすでにこのサービスを導入済みである。ポスコは2008年から文書だけをクラウドに共有するようにしていたが、2012年からはイメージ、動画などのすべてのコンテンツを共有するようになっている。東国製鋼は2010年にこのサービスを導入している。同社は、このシステムを導入するとともに、座席の指定と間仕切りをなくしたとのことだ。斗山重工業もこのサービスを導入し、現在国内の400部署の8,000名の社員が900万件の資料をクラウドに保存し、業務に活用しているようだ。
(つづく)
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