福岡空港を取り巻く現状と未来図(2)
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利便性と引き換えの遅延発生の常態化
福岡空港の特長として、まず挙げられるのはそのアクセスの良さである。福岡空港は、都心から約7kmという近い距離にあるだけでなく、前述したように福岡市営地下鉄が国内線ターミナルに乗り入れており、JR博多駅から約5分、地下鉄天神駅からも約11分と、非常に利便性に優れた空港になっている。ここまでアクセスの良い空港は、国内ではほかに例がない。国内の他空港に目を向けると、都心からの交通アクセス時間は東京→羽田空港の約36分や札幌→新千歳空港の約37分、名古屋→中部国際空港の約34分と、30分程度はかかるのがザラである。成田空港や関西国際空港ともなると、東京都心および大阪都心からそれぞれ約1時間もかかってしまう距離にある。博多から約5分という福岡空港のアクセスの良さは、まさに破格と言えよう。
そうした好アクセスの立地に加え、アジアに近接している福岡の位置関係から、国内線と同程度の時間でアジアの主要都市への渡航が可能な点も利点として挙げられる。たとえば、福岡空港から東京・羽田空港までの所要時間は約1時間25分だが、これは中国・上海までの約1時間30分や韓国・ソウルまでの約1時間20分とほぼ同じ所要時間である。
こうした利点もあって、福岡空港は旅客数および発着回数ともに、羽田、成田に次いで国内第3位の利用状況を誇っている。
だがそうした福岡空港の利点の半面で、都心に近い場所に位置するあまり、空港周辺の土地に拡張する余裕があまり残されていないことが福岡空港の大きな問題点として挙げられる。福岡空港は開業以来、限られた敷地内での整備・運用を余儀なくされており、とくに滑走路に至っては、長らく1本の滑走路での運用がなされてきた。2013年度の実績では、福岡空港の発着回数は国内線、国際線合わせて17.4万回。これをたった1本の滑走路でまかなっているのだ。福岡空港の旅客数は13年度で約1,929万人だが、2,000万人程度の旅客を取り扱う空港のなかで、滑走路が1本の空港は、世界でも福岡空港のみである。
近年、福岡空港では新規路線の開設や増便が相次ぎ旅客数および発着回数ともに増加傾向にあるが、それを1本の滑走路でまかなわなければならない現状が、航空機の混雑や遅延の常態化という問題をもたらしている。13年9月に実施した実態調査の結果では、福岡空港ではピーク時間帯を中心に混雑や遅延が常態化しており、1機当たり約4分、最大で約28分もの待機時間が発生していた。その数は1日当たり約200機に上り、待機時間の合計は約13時間。実に1日の離着陸機の40%強が影響を受けているという結果になっている。これは年間にすると、約7万5,000機の待機数に、合計で約5,000時間の待機時間となる。
また、本来であれば福岡空港は24時間の運用が可能な空港となっているが、都心に近いという立地もあって航空機騒音の影響に配慮し、利用時間は朝の7時から夜の22時までとなっている。そうした利用時間の制限も、福岡空港の混雑を招く一因ではあるだろう。
(つづく)
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