2024年12月24日( 火 )

福岡空港を取り巻く現状と未来図(4)

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空港能力向上に向けた各種整備事業

福岡空港 空撮 福岡空港 空撮

 滑走路増設事業は、現滑走路(2,800m)の西側に増設滑走路(2,500m)を設け、併せて着陸帯、誘導路、場周道路、排水施設などの整備および既存施設の移設を行うもの。滑走路を増設することにより、現状で16.4万回/年の滑走路処理能力が、18.8万回/年から最大で21.1万回/年への向上が見込める。また、現滑走路が国内線ターミナル側、新滑走路が国際線ターミナル側に位置することもあり、今後、国内線の離着陸を現滑走路で、国際線の離着陸を新滑走路で行うといったような、利用の棲み分けも可能となる。ただし、新滑走路は現滑走路に比べて300mほど短いため、長い離陸距離を必要とする欧州便などの一部国際線は、これまで通り現滑走路からの離陸が行われることになるとみられる。
 滑走路増設事業の事業期間は、用地買収や埋蔵文化財調査等の期間を含めて約10年が見込まれており、2024年度の完成を目指している。概算費用は約1,643億円。他に民間事業約200億円がある。

 また滑走路増設に先駆けて、現在、福岡空港では2つの事業が進められている。1つが、12年度から進められている平行誘導路の二重化整備事業。そしてもう1つが、国内線旅客ターミナルビル再整備事業である。

 まず平行誘導路の二重化だが、平行誘導路とは滑走路全長にわたって平行に設けられた誘導路のことで、ターミナルなどから離陸のため滑走路端部への移動や、着陸後のターミナルへの移動を行う場所のこと。この平行誘導路を二重化することで、到着機の滑走路占有時間の短縮や、出発機が到着機に影響を受けないことでの遅延緩和につながる。この誘導路の二重化による福岡空港の滑走処理能力は、現状の16.4万回/年から17.0万回/年まで向上することが見込まれており、この二重化の整備は、19年度中の終了を予定している。

 もう1つの国内線旅客ターミナルビルの再整備については、平行誘導路の二重化整備と併せ、ターミナルビルの老朽化対策や利便性の向上のために行われるもの。旧来の第1駐車場および第2駐車場を取り壊し、ビルと直結したかたちの立体駐車場を新設。また、第1、第2、第3と分かれて利用者からわかりにくい構造となっている現ターミナルビルの出発・到着機能をわかりやすく集約し、新たなターミナルビルとして新設すると同時に、ターミナルビル自体を滑走路とは反対側にセットバックし、平行誘導路の二重化のための土地を確保する計画だ。この再整備事業が終われば、福岡空港の国内線旅客ターミナルビルは、より機能的で使いやすく生まれ変わることになる。この新ターミナルビルの完成は、19年3月を予定している。

 そのほかに、福岡空港の回転翼機能移設事業も進められている。これは、福岡空港に常駐待機するヘリコプターの離着陸の機能をほかに移そうというもの。現在、福岡空港のヘリコプター常駐機数は23機と他空港と比べて突出して多く、通常の航空機との混在により、ヘリコプターの迅速な活動および航空機の運航にも支障が生じる事態となっている。そのため、空港場外への新たなヘリコプター専用の運用施設の設置を行うもので、今のところ事業実施想定区域は、雁ノ巣となっている。

 こうしたさまざまな整備授業が進めば、今後、福岡空港は高いアクセス利便性を維持しつつも、さらに機能的で便利な空港へと生まれ変わっていくことだろう。

(つづく)
【坂田 憲治】

 
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