ダンロップタイヤ九州を元従業員が提訴(前)
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住友ゴムグループのタイヤ販売、ダンロップタイヤ九州(株)(本社:福岡市、松木祐昭代表)と元従業員との間の解雇をめぐる問題が、その“摩擦”の大きさから、話し合いがコースアウトし、法廷に持ち込まれた。
訴えているのは、ダンロップタイヤ九州の従業員だった中嶋厚氏(69)。同社の本田義治社長(当時)にだまされて取引関連会社の代表者に就任したところ、1年半後に代表者を退任させられたのは、ダンロップタイヤ九州を退職させるため取引関連会社に雇用させたものだと指摘し、不法行為による損害賠償として、退職時から定年退職までの9年6カ月間分の給料の内金1,000万円の支払いを求めて福岡地裁に提訴したものだ。
訴状によれば、当時、退職を拒んだ中嶋氏に対し、暴力団の脅しがあったとしており、過去の出来事とはいえ、その主張が事実ならば、一流企業グループ会社のスキャンダルとなりかねない。訴状などによれば、中嶋氏は、当時の本田義治社長から、同社と取引関係にあった運送会社のグループ企業の東亜ゴム販売(株)の代表に行ってくれと要請を受け、当時の給料などの労働条件より良い待遇を示されたため、1993(平成5)年4月30日退職し、代表に就いた。中嶋氏は1970(昭和45)年入社し当時部長代理。現在のように終身雇用制が崩れる前で、出向・転籍が盛んに行われた時代であり、代表として移った後も、東亜ゴム代表者として定年まで在任できると認識した。
ところが、中嶋氏は、何の落ち度もないのに1994(平成6)年9月頃、運送会社会長から代表者解任を言い渡され、「ダンロップタイヤの定年の60歳まで在任できると信じていたので、不当解雇である」と主張したが、暴力団を名乗る男らから退職するように脅され、やむなく代表者を退任したという。中嶋氏は、「運送会社会長から『本田社長ら3人が料亭に集まり、本田社長から、中嶋を辞めさせたいと相談を受け、辞めさせるために(代表者就任を)仕掛け、東亜ゴムで雇用した』と聞き、本田社長にだまされたと知ったものの、暴力団を名乗る男らの脅しにより、職場に復帰する訴訟を起こせないまま約20年が経過した」と、無念さを語る。退職時の月給は38万円。定年退職までに得られるはずだった給料総額は、少なくとも4,000万円にのぼる。
失意の日々を過ごすうちに、「私を罠にかけて辞めさせたことに対し、人道的責任、社会的責任を求めたい」という気持ちが湧いてきて、今回の提訴に至った。ダンロップタイヤ九州側は、中嶋氏の内容証明郵便や労働局のあっせん申請に対し、「社内調査を行いましたが、自己都合による退職との記録があり、貴殿の言われる事実は確認できませんでした」として、請求に応えられないと回答している。取材に対して「中嶋氏は自己都合退職したもので、退職金を支払っている」と述べている。
(つづく)
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