積極的平和主義に強い危機感~事業家・関根健次氏(2)
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ユナイテッドピープル(株) 代表取締役 関根 健次 氏
やると決めてから考える
――スペイン在住でご高齢の博士を日本に招聘するには、金銭面などいろいろな課題があったと思いますが、どのように解決されたのですか。
関根 今年3月31日に、フェイスブックで「積極的平和の提唱者である博士を日本に呼びたい!」と一言だけ書きました。それを見たハリウッドビューティーサロングループの牛山大社長から連絡があり、「博士につながる友人を知っているよ」と連絡がありました。それが、たまたま共通の友人でした。彼女が博士の奥さん(日本人)と親しかったようで、紹介してもらうようお願いしました。
博士は「トランセンド研究会」という、平和的手段による紛争転換の方法を探求し実践するNGOを設立しています。日本にもその組織があり、関係者にコンタクトを取って、企画書を5月9日に送付しました。
具体的には「日本は戦後70年という節目に、博士が提唱した『積極的平和』とはまるで違う『積極的平和主義』によって、集団的自衛権を閣議決定しテロとの戦いに突入しようとしています。もし経済大国3位の日本が平和国家から戦争国家になれば、世界に与える影響は絶大です。16年には参院選があり、17年には憲法改正が発議されるのが確実視されるなか、この重要な節目でぜひ博士の来日を希望します」という、今のまっすぐな気持ちを伝えました。
すると、博士はほぼ即答で「わかった。日本への愛のために行こう。無償で行くことを約束するよ」とおっしゃってくださいました。実際にはイベントが成功し、謝礼もきちんとお支払いしましたが、無償の想いで博士も来日されたのです。博士にはぜひ安倍首相にお会いしていただきたかったですが、明恵夫人との面談が実現しました。明恵夫人は「積極的平和」についてご存じなかったので、博士からは概念の説明などをしました。昭恵夫人からは「わたしの立場でできることをやっている」とご自身の活動の紹介がありました。博士は昭恵夫人について大変感銘を受けていました。
また、「北東アジア共同体」に関連して「鳩山由紀夫元首相に会いたい」という博士の希望があり、木内みどりさんと水野誠一さんにお願いして面会が実現し意見交換できました。今回は一般社団法人国際平和映像祭としてのプロジェクトでしたが、そもそもボランティア団体で資金がほとんどありません。そのため「クラウドファンディング」という、ネットで新事業に小口の投資を募る手法で資金調達しました。私は最初から「これで集まらなければ自己負担する」と決めていました。事業家としての決意とも言えるかもしれませんが、とにかくやるんだと決めてから果敢に方法を考えました。
その際、「参加チケットが高いのでは」と多くの人に言われたのです。要するに、非営利組織が主催するものとして5,000円は高いと。「せめて1,500円くらいにしなさい」という意見も多くいただきました。
たしかにもっと安くできたかもしれません。しかし、このくらいの金額をもらえなければ、このクラスの方を海外からビジネスクラスで招聘し、かつ東京の六本木という一等地や横浜を代表するような場所で講演会を開催することはとてもできません。しっかりとしたイベント運営体制を作るためにもそれなりの対価をいただき、もし余れば次回以降のプロジェクトに活かそうと考えました。
おかげさまで今回は予想以上に集まりましたので、9月21日の国連平和映像祭の参加費は無料としました。そして、来年3月21日に計画を開始した今回と同じようなイベントで活用させていただこうと思います。(つづく)
【大根田 康介】<プロフィール>
関根 健次(せきね・けんじ)
ユナイテッドピープル(株)代表取締役
一般社団法人国際平和映像祭 代表理事
1976年生まれ。ベロイト大学経済学部卒(アメリカ)。大学の卒業旅行で世界半周の旅へ出る。途中偶然訪れた紛争地で世界の現実と出会い、後に平和実現が人生のミッションとなる。2002年に世界の課題解決を事業目的とする非営利会社、ユナイテッドピープル株式会社を創業。2009年から映画事業を開始。2011年から国連が定めたピースデー、9月21日を広める活動を開始。同年、一般社団法人国際平和映像祭を設立し、ピースデーに毎年国際平和映像祭(UFPFF)を開催している。著書に『ユナイテッドピープル』がある。法人名
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