安保法案反対デモが残したものとは?(前)~福岡市で公開討論
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安保法案をめぐり、国会前や全国各地で「60年安保」以来と言える規模のデモが繰り広げられた。法案は成立したが、デモの参加者からは「参院選まで忘れない」「賛成議員を落選させよう」「民主主義は止まらない」といった声があがっていた。安保法案反対のデモは社会に何を生み出したのか。デモに参加した普通の学生や母親、学者らが福岡市でパネルディスカッションした(10月2日、「ふくおか緑の党」主催)。以下、パネリストの発言を紹介していく。
パネリストは、サウンドデモや「ニャンで戦争」のユニークなポスターでデモを身近な存在に変えた「やだね戦争!反安倍政権アクション」の、いのうえしんぢ氏、「Fukuoka Youth Movement」(フクオカ・ユース・ムーブメント、FYM)の熊川果穂氏、「安保関連法案に反対するママの会@福岡」の宮下彩氏、久留米大学講師の土肥勲嗣氏(政治学)の4氏。
熊川氏は、大学4年生で、FYMの中心メンバーの1人。デモに抵抗のある学生もいるなか、衆院強行採決の翌日に学生が集まって、手探りで安保法案反対のデモや行動をしてきた。組織にとらわれずに、自分の思っていることを言っている。日常のなかに、一人一人が思っていることを誰にも邪魔されずに話せる空間づくりが、息の長い運動に大事だと思う」と話した。
「最初から、安保法反対が100%実現できるとは思っていなかった」と熊川氏に挫折感はない。「路上で声をあげることで、通りすがりの人の意識を変えたり、国会議員の意識も変えることにつながることを期待した。野党議員が国会で『国会の外の声を聞いてください』と言ったので、国会内の政治と私たちの距離が近づいたのは、抗議行動してきたからだと感じた」。
熊川氏は、安保法賛成派の「平和は武器で守られる」という抑止力論に対して、ペシャワール会の中村哲さんが去年7月の閣議決定の際に、「NGOは憲法9条があったから活動できた、今後はいつ命が狙われるかわからない、日本なりの国際貢献が崩れてしまった」と語った言葉を紹介し、こう訴えた。
「安保法賛成の人は(安保法反対は)『お花畑だ』『理想論』だと言うかもしれないが、お花畑で何が悪いかと私は言いたい。平和は結果ではなく、戦争がない社会をどうつくるかを考える過程が平和をつくっていくと思っている」。宮下氏は、「普通の毎日を続けるためには、この法案はヤバイぞという気持ちで、7月末の東京・渋谷のデモに合わせて福岡でデモを始めた。『できることを、できる人が、できるときに』がモットー。『だれの子どもも殺させない』が合言葉です」と述べた。名称はママの会だが、男子部もありママ以外も参加している。「子どもは長時間じっとしていられないので、デモの前には、ピクニックといって、公園でお弁当を広げて、気持ちを語り合ったりした」と、ママの会のデモスタイルを述べた。
「(安保法が成立したが)今、あきらめるわけにはいかない。戦争が起きてもらっては困るし、だれの子どもも殺させては困る」と、宮川氏は今後も継続する決意を語った。
「デモが日常になった。それまでは、政治とは、選挙で投票に行くことくらいしか思いつかなかった。強行採決で不安を持ち、参加する人が増えた。このつながりができたことに希望を感じる。私も無関心で、毎日の目の前のことで一生懸命なだけだったが、気付いた。自分が冷めなければ周りに話していくので、99%が気付いたら(社会は)変わる」。(つづく)
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