2024年12月22日( 日 )

寺子屋モデル学校設立への挑戦(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

(株)寺子屋モデル 代表取締役 山口 秀範 氏

 創立10周年を迎えた(株)寺子屋モデル。同社代表取締役の山口秀範氏は、「日本人の心に灯をともす」という理念のもと出張公演や講座を行い、独自の教育論を展開してきた。今回、山口氏が学校を建設するという情報を聞きつけ、教育の根底にある想いと、学校建設計画について話を聞いた。

(聞き手:弊社代表・児玉 直)

偉人たちの生きざまで子どもたちに希望を

 ――御社では、どのような活動をしていますか。

(株)寺子屋モデル 代表取締役 山口 秀範 氏<

(株)寺子屋モデル 代表取締役 山口 秀範 氏

 山口秀範代表(以下、山口) 今までは義務教育の周辺で、我々の手が出せる範囲で子どもたちに徳育を施しており、大人を対象とした講座も開いています。二宮尊徳や吉田松陰をはじめとする、生き方の手本にすべき偉人たちが遺した言葉や生き方を語り伝えることです。5歳くらいの幼児には幼稚園で、小学生には学童保育や「寺子屋塾」で授業をして、また私立の学校には教材を勧めています。我々がつくった『日本人として生きる~道徳の教科書~』は、博多高校の道徳の教材として採用されています。今は、寺子屋モデルの実践に基づいた小中学校の申請を準備中です。

 ――山口社長は、会社を辞めて48歳で偉人伝を広める活動を始めたそうですが、新しく行動を起こすには難しい年齢だったと思います。寺子屋モデルを設立した動機は、何だったのでしょうか。
 山口 私は15年間海外で働いていました。ナイジェリア、ロンドン、アメリカに駐在し、中南米や東南アジアの国々などを含めると実に30数カ国に足を踏み入れました。そして日本に帰ってきたときに、日本の子どもたちの様子を見て衝撃を受けたのです。実につまらなそうな表情で覇気が失われている、と。私はこれからの日本に対し不安を抱き、自分にできることはないかと考えました。そこで子どもたちに「日本にはこんなに素晴らしい人がいた」と知ってもらえれば、彼らの自信につながると思ったのです。子どもたち自身も生きるお手本を見つけて、未来に目標を持てるのではないかと寺子屋を開設しました。

 ――寺子屋モデルは偉人の教えを基盤にしているのですね。偉人にあたる基準はありますか。
 山口 自分の中にゆるぎない価値観を持って、それを曲げずに実行する人が、偉業を成し遂げています。偉人の定義は、後世の人がお手本にしたくなる人です。現代にももちろん偉人は生まれていて、たとえば警視庁のお巡りさんだった宮本邦彦警部(注)がその1人で、「誠」という言葉がよく似合う正義感あふれる方でした。今の日本にも、宮本さんのような語り継ぐべき人はたくさんいるんだと伝えていくことも、子どもたちに、そしてその親たちにも希望を持ってもらうためにすべき大切な営みだと考えています。

(つづく)
【文・構成:川元 浩明】

【注】宮本邦彦さんは、板橋区ときわ台の交番に勤務していた警察官。線路に飛び込んだ女性をかばい、列車に接触し殉職した。彼は「誠実・誠心・誠意」をモットーとしており、最後まで自分のできることを愚直に尽くし、町の人を守るために働いた。

<COMPANY INFORMATION>
所在地:福岡市博多区博多駅東2-5-28
設 立:2005年2月
資本金:3,600万円
TEL:092-411-3055
URL:http://www.terakoya-model.co.jp/

 
(中)

関連記事