中国経済新聞に学ぶ~国境の都市・満州里に見る中露関係のいま(後)
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満州里の中露貿易が最も盛んだった頃は、3~5人のうち1人はロシア人だった。さらにロシア人女性がいるナイトクラブが多くあった。満州里は「北方の東莞」とも称された。しかしルーブルが大幅に下落してからは、貿易も急激に冷え込み、国境貿易や第三産業の消費も少なからず影響を受けた。満州里の街を歩くと確かにロシア人は多くない。しかも多くのナイトクラブも営業を休んでいた。中国は「八項目の規定」により、官僚は物見遊山を禁止されており、満州里を視察する地方官僚も大幅に減少、ロシア女性の仕事も少なくなったのだろう。
現地の役人によると、数年前と比較して、ロシア人の満州里での買い物の種類にも変化があるという。中国の多くの大型企業がロシアに進出してから、テレビや冷蔵庫などの大型家電を買う人は少なくなった。食料品も多くない。主に軽工業品、小型家電、日用品である。取材班がショッピングセンターで見かけたロシア人は、1人は衣料品、1人は厨房家電、1人は照明器具を買っていた。ロシアのトラックを見ると、後ろにたくさんタイヤを乗せている。タイヤもロシア人が好んで買う品物だ。ロシアは道が悪く、タイヤの傷みも激しいという。
高市長は満州里の将来について、「ここは習近平主席が提唱する『一帯一路』の最も重要な拠点だ。満州里の鉄道は中国各地とつながっていて、満州里から出発する列車は直接ロシアやヨーロッパのデンマークとつながっている。まさに『一帯一路』戦略の交通の大動脈だ」と胸を張る。
しかし、心配もある。ロシアが中国に対し警戒心を持っているからだ。中国はすでに満州里の中露国境まで高速道路を建設しているが、ロシアは高速道路の影さえない。中国側は国境まで高速道路建設の援助を申し出ているが、ロシア側の積極的な返事がない。ロシアにはメンツもあって、中国には負けたくない、中国は永遠に弟分なのだという。これまで何度もロシアをも訪問している高市長は、「ロシアの投資環境は、政府の方針があり、中国の80年代後期の段階という感じだ。中央の権力が過大で、地方政府は小さい。すべての事が中央の指示待ちで、多くの合作計画を進めることができない」という。
現在、満州里と対岸のザバイカリスク(さらに大きなルビー市を含む)の合作は主に文化やスポーツの交流であるが、中露両国の経済特区建設の理想には程遠い。最大の原因は、ロシアの経済が多くの困難に直面しており、当然ロシア政府のコントロールを受けることを望んでいないことによる。
満州里はまさに中露関係の縮図である。
(了)
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