2024年12月23日( 月 )

城ガールが巡る日本の名城~現存最古の国宝天守・犬山城(中)

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お待たせしました!いざ天守へ!

siro 犬山城前広場脇にある道を通り、天守へ向かう。広場からは天守は木と木の間から見える程度で、確認がしづらい。緑を感じながら、石で舗装された坂道を登る。10分と掛からない道だが、木と野面積みの石垣に囲まれながら歩くのは非常に楽しい。そして、やはり天守は見えない。幾度の実戦に耐えた城の守りは固い。

 入場券を買い、門をくぐると、「国宝・犬山城天守閣」が現れる。

 白い外壁に統一された黒瓦が非常に美しい。高さ約24m(石垣5m)と、そう大きな城ではない。しかし、間近でみるとその存在感の大きさに驚かされる。

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 天守の造りは、望楼型三重四階地下二階。外観三重、内部地上4階、地下(石垣の中)2階となっている。右下にある櫓は付櫓(つけやぐら)といい、天守の入り口を防御する役目も担っている。

 右から左へ一通り天守を眺める。城には守るための仕掛けが数多く備えられている。もちろん、この天守も例外ではない。
 例えば、「大きな窓の横に小さな窓がある。あれは何だろう?」とその気づきで城を楽しめる度合いは大きく変わる。なぜならその仕組みの答えを、内部で知ることができるからだ。ちなみにこの楽しみができるのは、現存天守または内部まで復元した一部の城だけになっている。ちなみに犬山城には「石落とし」がある。是非探してみてほしい。

 一通り眺め、満足したので天守へ入る。待ち構えているのは、傾斜のきつい階段。きついなんてものじゃない。狭いうえに手すりがないと危険で登れないのだ。この大変さも醍醐味の1つ。戦うための城に、大きな緩やかな階段があったら、敵を歓迎しているようなものだ。この城は今も戦っているのだ。多分、観光客と。
 城の内部が薄暗く、窓から射す光で室内は照らされている。模擬・復元天守は内部が城にまつわる資料館になっているが、現存天守に関しては、内部は当時のまま、展示物は少なく、城そのものが資料であり財産なのだ。三重の屋根に4階建ての内部は、階層ごとに天井の高さが違う。屋根の造りも見ることができるので、天井が高くなったと感じたら上を見てほしい。

入口階段。手すりの角度に注目してほしい<

入口の階段。手すりの角度に注目してほしい

上段の間。奥の扉の向こうで武士が待機する<

上段の間。奥の扉の向こうで武士が待機する

天守からの眺め

 天守からの眺めはまさに絶景である。北には曽根川が流れ、遠くには尾張・岐阜城、東には国宝・有楽苑、南には歩いてきた城下町が広がり、西にはライン大橋や伊木山を見ることができる。この日は前日までの大雨の影響で木曽川が濁っていたので、過去撮影した写真と共に掲載する。
 人が多く、廻縁を一周するのも時間がかかってしまう。スタッフのおじさんに話を聞くと、「普段は2,000人くらいなんだけど、今日は4,000人来ているね。なんとかウォークていうのがあってるからそれのせいかな?」とのこと。調べると同日に「健保連愛知連合会健康ウォーク」が開催されていた。場所は犬山市、まさにこのことだろう。
 賑やかで活気のある城もいいが、静かに歴史にふける派の自分としては少し残念に感じつつ、人の行き交う城下を殿様域分で見下ろした。

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(つづく)
【城野 円】

 
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