ゆうちょ銀行誕生~九州の金融業界再編を検証する(1)
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ゆうちょ銀行誕生の経緯
ゆうちょ銀行がいよいよ来月の11月4日に上場し、民営されることになる。小泉純一郎総理(当時)は「郵政民営化」を掲げて衆議院を解散。亀井静香氏など郵政改革反対の自民党所属議員の一部は離反したものの、2005年9月11日の総選挙で、与党自民党は480議席中327議席と3分の2以上の議席を奪う圧勝だった。
翌月の14日、「郵政法案」は国会で可決・成立したものの、それからは遅々として進まず、やっと10年後に「郵政民営化」が実現することになったのだ。
この間金融機関を取り巻く環境は大きく変化していった。2008年9月15日、サブプライムローン問題でリーマン・ブラザーズが破綻。リーマン・ショックを境に世界的に金融不安が広がり、日本経済が低迷を続ける一因ともなった。また人口の減少にともなう地域経済の縮小から金融再編が進んでおり、ゆうちょ銀行の民営化でさらに拍車がかかるものと見られる。ゆうちょ銀行の脅威
◆【別表1】を見ていただきたい。総預貯金63兆6,409億円に対してゆうちょ銀行の貯金残高は15兆8,294億円(24.8%)を占めている。今後金融再編が加速するのは民営化にともない種々の制限が外されていくことが脅威となる。現在一人当たり1,000万円の預入限度があるが、これが近いうちに2,000万円に引き上げられそうだ。その後3,000万円と段階的に引き上げられ、最終的には無制限になると予想される。
◆その危機感が2015年6月26日、『郵政民営化を考える民間金融機関の会』が共同声明したなかに表れている。
その結びには、「郵貯事業改革の本来の目的や、地域との共存、地方創生、円滑な上場などにもたらす様々な弊害に鑑みれば、今般の提言にある預入限度額の引き上げおよび新規業務への参入は、決して認められるべきではない。関係当局および郵政民営化委員会において、郵政民営化法の基本理念に則り、国益を十分に踏まえた深度ある審議・検討が行われることを強く希望する。」と述べている。あたかもゆうちょ銀行に対して、国内すべての金融機関が敵愾心を持った対応をしている感は否めない。裏を返せばゆうちょ銀行の民営化は、全国の金融機関にとって、大きな脅威であることの証左でもあるのだ。まさにゆうちょ銀行の民営化は、国内のあらゆる金融機関にとって黒船来襲以上の大きな脅威なのだ。
◆メンバーは下記7団体。
一般社団法人全国銀行協会
一般社団法人全国地方銀行協会
一般社団法人信託協会
一般社団法人第二地方銀行協会
一般社団法人全国信用金庫協会
一般社団法人全国信用組合中央協会
JAバンク・JFマリンバンク(つづく)
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