福岡市、西鉄との共同事業に不透明な意思決定プロセス(前)
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西鉄が市に提案
福岡市の高島宗一郎市長が、市の総合交通戦略のなかで議論されず、市議会にも報告しないまま、2015年4月16日の記者会見で発表した、西日本鉄道(株)(以下、西鉄)との共同事業として行う、連節バスの導入による都心循環BRT(バス高速輸送システム)の形成。その方針決定が、15年3月17日の起案から3月30日の決済までわずか2週間。さらに、その後の福岡市への取材で、連節バスの導入について西鉄から提案があったのは遅くとも15年1月下旬であったということがわかった。西鉄の提案から方針決定に至るまでの約2カ月間、市の交通戦略を検討する協議会や市議会への報告では、この共同事業(連節バス)に関する内容は出てこない。その意思決定プロセスは不透明なものとなっている。
市公共交通推進課は取材に対し、「幹線軸」についての協議を重ねるなかで、遅くとも15年1月下旬前に、西鉄から提案があったと説明。福岡市が15年3月2日に策定した総合交通戦略の「公共交通幹線軸の形成」では、バス走行環境の向上、バス専用レーンの指導・取り締まりの実施、デザインの統一、乗り継ぎ利便性の強化、バス路線の再編などにふれ、幹線軸の形成をすすめるルートの1つとして「都心部ルート」をあげている。その導入事例では、ラッピングバスやノンステップバスは記載されているが、連節バスについての記載はない。
この総合交通戦略については、市議会に15年2月議会第4委員会で、その内容が報告されている。だが、西鉄からすでに提案されていたはずの連接バスは、議会でも報告されなかった。「(第4委員会には)幹線軸について市、西鉄、警察で進めていくという資料を説明したが、連節バスについて説明していない」(市公共交通推進課)という。
不透明な検討過程
15年1月下旬の西鉄からの提案を受けてから方針起案まで約2カ月。その間、市は、議会に報告せず、交通戦略を策定する協議会にも諮っていなかった。では、どのような検討過程を経て、BRTや連節バス導入の決定に至ったのか、西鉄との協議に関するものは、「情報公開で開示されたなかには存在せず、不透明さが際立っている。
今回、市が開示した連節バス導入に関する決裁文書(画像参照)には、「方針決定を行う事項」として(1)連節バスの2016年度導入など、(2)市と西鉄の連携および役割分担が記載されているほか、「2.資料」の欄に「資料1:都心循環BRTの事業概要」および「3.今後のスケジュール」(非開示)が記載され、「資料1」と、「都心部幹線軸の検討について」と題する文書(A4)が添付されていた。
「資料1」というのは、「公共交通による都心拠点間の交通アクセスの向上について」と題したA3サイズ1枚の文書である。事業目的と事業内容、今後のスケジュール、概算事業費などが記載されており、事業内容には、「シンボル性・輸送力の高いバス(連節バス)」「わかりやすい情報案内および運賃体系」「バス専用走行空間(環状ルートの形成)」「都心循環ルートのスキップ運行」と書かれているが、交通アクセス向上のために、なぜBRTや連節バスに決定するのか、意思決定過程やその理由については読み取れない。
(つづく)
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