2024年12月23日( 月 )

大名小跡地、風営法の規制外れてビッグバン?(後)

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旧大名小学校<

旧大名小学校

 「地域の意見もふまえ、今後、福岡市において跡地利用計画を策定する。なお、地域より要望のあった整備項目については、当該跡地利用計画の中で順次実施する」。
 大名小学校が統合閉校するにあたって、2010年2月、大名校区自治協議会、大名小PTAは、福岡市とこのような合意を結んだ(「舞鶴中学校区の小中学校再編に関する計画書」)。
 合意内容は、まちづくり構想(原案)にも、「地域と定めた跡地整備に関する事項」として明記されている。
 検討委員会の議論の中で、教育委員会は、「最終的には公安委員会の話」としつつ、教育機能の一部を残す方が風営法の保護対象となりやすいという回答をしているが、住宅都市局都心再生課が用意する事務局案には、反映されなかった。

委員長「拠点が備えるべき性能の中に入れ込む」

 風営法の保護対象となる機能を求めたのは、単に、1人の委員の発言ではない。議事録を読むと、委員長がまとめた確認事項といっていい。
 たとえば、第1回検討委員会では、委員長が「再度強調していただきましたけれども、防災と風営法に対してしっかりと対応していただきたいということの確認がございました」「現在、地域の方々が抱える課題に対応していただきたいということで、保育園の機能、更に、これから高齢化率の上昇が予想されますので、老人の介護に対するサービス機能を是非含めていただきたいというご意見でございました。今の意見は、2番目の居住性と防災性のところに含めていただくということで、よろしいでしょうか」と、議論をまとめている。

 委員長と事務局で、次のような確認のやりとりまで交わされている。

 委員長「風営法上の規制をできるだけ維持していただきたいということで、そのためには、小学校としての機能を一部でもこの中に残すということが重要な点となります。それが、この拠点が備えるべき性能の中のどこに入っていくのかを確認できなかったのですが、改めてまた確認をしていただけますか。あるいは、この中にきちんと入れ込んでおいていただくということでよろしいですか。どこか入っていましたか」。
 事務局「居住性のところに入れているつもりでございますけれども」。

委員長の指示を事務局(都心再生課)が無視?

 「入れているつもり」というのは、すでに見たように「こどもから高齢者まで幅広い年齢層の人が暮らし続けられる、暮らしを支える交流空間づくりや、生活環境を悪化させない取り組み」とあるだけだ。
 委員長が「小学校としての機能を一部でもこの中に残すということが重要な点」だと指摘し、「備えるべき性能」の中に、風営法の保護対象の機能をきちんと入れ込むように事務方に対し指示しているのに、「入れているつもり」と答えながら、文章上はまったく入っていない。
 委員長はじめ委員が真剣に議論しているのに、委員が何を発言しようが、委員長が何を指示しようが、決めるのは役人なのか。これでは、住民の切実な要望は、置き去りにされ、繰り返し風営法の保護対象の機能を残すように求めた地元代表はピエロ扱いだ。

「地域住民のガス抜き」の検討委員会なのか?!

 検討委員会の議事録と、出来上がった構想(原案)を見ると、事務局がつくった案は、検討委員会の議論を盛り込んだというよりも、あらかじめ答案はできていて、検討委員会は「お飾り」だったように見える。
 第1回検討委員会で、ある委員はこう述べた。
 「この会合が、ただの地域住民のガス抜きにならないように、ぜひ深く検討していただきたい」。
 役人に良心があるなら、委員や委員長の指示に真剣に耳を傾けるべきだ。パブリックコメントがセレモニーだけに終わらないように注目したい。

(了)
【山本 弘之】

 
(中)

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