2024年11月22日( 金 )

鹿児島銀行が農業法人設立~その真意は

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 鹿児島銀行の上村基宏頭取は12月24日の記者会見で、2016年を目処に関連会社か、グループ内に新会社を設立して農業生産法人を設立する意向を明らかにした。

農業法人設立の目的

 上村頭取は『衰退していく農業に従事する取引先に対して、本当に役立つ支援をしていきたい。大きな目標は地域の再生だ。当初は赤字覚悟でもやりたい』とその意気込みを語った。
 その目的は一次産業である農業を二次産業に転換し、(1)後継者不足及び耕作放棄地の解消。(2)休日の確保など働きやすい環境を整備。(3)収益性の高い生産管理体制を確立する。 ことにあるという。

九州の農業産出額

◆九州農政局が22日に発表した農林水産統計によると、農業産出額の第1位は北海道の1兆1,110億円。第2位は茨城県の4,292億円。鹿児島県は4,263億円で、千葉県を抜いて第3位に躍進。第4位は千葉県の4,151億円。5位は熊本県を抜いた宮崎県の3,326億円。6位は熊本県の3,283億円。
◆全国47都道府県に占める九州7県の産出額は前年の19.5%から20.2%となり、全国の2割を占めている。九州は安心・安全な日本の食糧基地として、今後更にその比重は高まってくるものと見られている。

農業法人設立の真意

◆鹿児島銀行(鹿児島県)は今年10月1日に肥後銀行(熊本県)と経営統合し、両行を傘下に持つ持ち株会社「九州フィナンシャルグループを設立。同社社長を兼務する上村頭取は、九州FGとして農業法人を支援する10億円規模の「KFGアグリファンド」の運用を来月から始めることも発表した。
◆なぜ今の時期に上村頭取はの農業法人設立を発表したのだろうか。九州を本拠地とする金融グループは、ふくおかFG、九州FG、西日本FG(仮称)「来年10月を目処に西日本シティ銀行グループはFG予定」の三つであり、新たなFG設立の動きは今のところ出ていない。
 そのためグループに属していない第一地銀の十八銀行(長崎県)、佐賀銀行(佐賀県)、筑邦銀
行(福岡県)、大分銀行(大分県)、宮崎銀行(宮崎県)の5行が、どのグループに入るかによって
九州地銀の勢力図は大きく変わることになる。
 九州FGとすればこの5行を取り込めば、九州全域をカバーできると共に、肉薄している西日本FGを大きく引き離し、ふくおかFGに対抗できる金融勢力を築くことが出来る。十八・佐賀・筑邦銀行の3行とは共同システムの運用などで親しい関係にあるが、大分銀行、宮崎銀行は微妙だ。
◆九州は全国の農業産出額のトップテンに、3位鹿児島県、5位宮崎県、6位熊本県の三県が入っている。今回の農業法人設立は、人口の減少に伴う地域経済の活性化を旗印に、宮崎銀行に九州FGとの経営統合に参加するよう呼び掛けたというのが真意ではないだろうか。

【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

 

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