成長が見込まれる車載半導体市場(後)
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このような魅力的な車載半導体市場に韓国自動車業界はなぜ参入が遅れ、世界との技術格差が存在するようになったのか。今自動車業界を世界的に俯瞰してみると、いろいろな動きがある。自動車業界にパラダイムシフトが起こることを見越して、グーグルなどのようなIT企業の参入が相次いでいる。今までの自動車業界は機械制御がメインであったならば、これから電子部品の制御がメインになってくるので、電子業界でも自動車業界への参入を目論んでいる。そのような状況の中で、世界的なメモリメーカで、ダントツ1位のサムスン電子も、電装部品事業をスタートさせた。メモリでは世界一のサムスンでも、車載半導体では世界市場シェアは1%に過ぎない。サムスンは現在シェアが小さいだけに、成長余地は大きいと判断して、この分野に参入することを表明している。なによりも、メモリは今後需要が限界に達しつつある半面、車載半導体は市場拡大が予想されるので、この市場を狙わざるを得ない。今後自動車では電装部品の比重が増えていくが、電装部品の性能を左右するのは半導体なので、サムスンが今まで培ってきた半導体の技術を応用すれば勝算があると内部では見ているようだ。韓国の国策研究所によれば、車載半導体の技術水準はヨーロッパを100にした場合、米国は98.9、日本は93.8で、ほぼ接戦の状況のようだ。ただ、韓国は70.5で、ヨーロッパに比べて2.1年の技術格差が存在すると指摘されている。
また、このような技術格差以外にも車載半導体市場にはかなり高い参入障壁があることも知られている。車載半導体は自動車に搭載することになるが、自動車は人命と直接関わりがあるため、品質認証が厳しく、開発にも長い歳月が必要であるといわれている。それだけでなく、自動車会社と半導体会社との信頼関係が強固で、なかなか食い込んでいくのが難しいのも、参入障壁のようだ。また規模の経済が働く世界で、後発にとっては不利なことも上げられている。例えば、現代自動車を例にとると、自社の全モデルに採用しても合計で760万台くらいになるが、フリースケールの場合には全世界に5,000万台の自動車に採用されているので、規模の経済の面でも互角に戦うのが難しい点である。しかし、サムスンが最初半導体に参入するときも、周囲からは無謀なことだといわれたことがある。しかし、サムスンは果敢な投資で半導体だけでなく、ディスプレイでも世界トップに君臨することができた。
このように今回の車載半導体も挑戦すれば成功する可能性がないわけではない。ただ、問題は以前と同じように莫大な投資を果敢にできるかどうかである。ある韓国の大学先生は車載半導体のパラダイムシフトが起きているので、十分サムスンにも勝算があると言っている。今までは機械制御が制御のメインであったが、今後5年~10年以内に電装部品の制御に市場が切り替わるので、サムスンにとってもある意味チャンスであるという評価である。今後車載半導体という大きな市場をめぐって自動車メーカーだけでなく、半導体メーカーまで参入し、激戦になりそうだ。
これとは逆に、自動車の部品メーカーが今まで半導体メーカーに発注していた車載半導体を内製化しようとする動きもある。車載半導体の動向から目が離せない。
(了)
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