2016年は電力新時代の幕開け(2)
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2015年8月、原子力の新たな規制基準のもと全国で初めて川内原発1号機が、10月には2号機が再稼働となる。新規制基準のもとでの原発再稼働だが、問題は運転をしている今もすべて解決したわけではない。
福島原発事故を経て、非常時電源や非常時の異常な圧力を逃がす際のフィルターが重要と認識された。たしかに、それらがあれば、あるいは福島原発事故を防ぐことができたかも知れない。しかし、福島のような、津波による全電力喪失や異常な格納容器ベントへのためらいだけが原発過酷事故の原因ではない、という点が問題視されたのである。たとえば、川内原発では阿蘇山や桜島など火山の噴火は考慮されていない。1万年に一度の大規模な噴火は、いつ起こるか予測することができない、とされている。万が一に万が一を掛け合わせるような確率だろうが、火山による火砕流が川内原発を襲った場合はどうなるのだろうか。その答えは今のところ見えていない。
万が一に万が一を、と表現したが、福島原発事故はまさにこの状態だっただろうと思われる。原発の安全性を考えるうえで「どこまで安全ならば安心か」という尺度の問題が指摘されるケースがある。どこまで安全を考慮したら、人々の安心を得られるのか、原発は受け入れられるのか、ということだが、これは人それぞれの感情の問題も大きく影響するだろうが、何より、原発の潜在的な生物への毒性が原因と考えられる。
原発はウランやプルトニウムの核分裂を用いて発電を行う。原子核が分裂すると、不安定な原子が2つ生まれ、それぞれ安定を目指して粒子や電磁波を放出する。これが放射線だ。この放射線は生き物の設計図であるDNAのつながりをバラバラにしてしまう。
DNAが壊された細胞は、細胞のコピー(細胞分裂)ができなくなったり、不完全な複製を行ってしまったりすることとなる。少量の放射線であれば、浴びたとしても本来持っている免疫機構によって健康を維持することができるが、量が多すぎると死に至る場合もあり得る。そういった放射線のもつ生物に対する毒性は今も解決されていない。閉じ込めることはできても、そこから漏れ出す危険は常にあるのである。
(つづく)
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