マルイとはこんな店だ!~その全貌と戦略を探る(2)
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博多マルイ オープン直前企画
4月21日に開業する「博多マルイ」のテナント概要が発表された。商業施設は進出の度にテナントの顔ぶれで「九州初上陸」「福岡初進出」という冠に注目が集まる。しかし、企業そのものが新参のマルイは戦略、戦術ともこれまでの施設とはだいぶ異なる。その全貌とポイントを見ながら、福岡への影響度を探る。
百貨店からショッピングセンターへの転換~テナントビル事業で収益向上へ
青井浩社長が取り組んだ2つ目の柱が小売事業の改革である。それまでのマルイは、ヤングのマルイ、ファッションのマルイとのイメージが多数を占めていた。客離れの要因を探っても、顧客から返ってきた言葉は、「マルイさんって、服ばかりでしょ」だった。
確かに販売戦略の成功モデルは、セールが終わった端境期、顧客にはまずシューズのDMを送り、次がバッグ類、そしてシーズンに入ると服を全面的に売るという流れ、それを春夏、秋冬に繰り返すというものだった。しかし、客の趣味や嗜好が変わる中で、こうしたモデルがいつまでも通用するはずがない。そこで、2007年に出店した有楽町店から段階的に新たな戦略がとられていった。
日本の市場構造は少子、高齢に向っていた。そこでまず若者をメインターゲットにした店づくり、アパレル中心のMD(商品政策)の抜本的な見直しに着手した。
客層を幅広い年代に広げ、雑貨や飲食の売場を増やすなど、ライフスタイル型ストアへの脱皮を推進したのである。当然、雑貨や飲食はアパレルほどの粗利益は稼げない。実際に客数は確実に増えたものの、収益性が悪化するという問題に直面した。その解決策が消化仕入れをベースとした百貨店から、テナントを集積するショッピングセンター(SC)への転換だった。
このモデルは店舗が商品を仕入れて販売するのではなく、定期借家契約を結んだテナントの歩率家賃で収益を上げるものである。
東京郊外に位置する町田マルイは、14年5月にSC型に転換した1号店。ライフスタイル型の商材、サービスを4割から7割に拡大したことは、食品を販売するテナントの買い上げ客数を2.6倍に伸長する原動力となった。消化仕入れから定期借家契約へ
ただ、町田マルイは初めてのSC型ストアということもあり、テナントのリーシングなどノウハウ不足を露呈した。
店舗損益は当初の計画を下回ったが、その後の横浜店、吉祥寺店などでは町田の経験が生き、テナント誘致した区画のすべて収益を改善させた。さらに政令指定都市を中心に展開する「マルイ」とは別に、比較的小規模な都市、小商圏を設定した「モディ」をグループ子会社、(株)エイムクリエイツが開発し、運営に参入。マーケット規模や立地に柔軟に対応した新業態に位置づけた。
モディ事業は手始めに赤字が続いていたマルイの町田店、戸塚店、川越店の3店の改装することでスタートした。
3店舗はそれぞれライフスタイル型、地域密着・デイリーユース型、専門店集積型と、地域特性を生かして黒字化を実現するなど、順調に滑り出している。マルイでは、マルイ業態を太陽のような恒星と位置づける一方、モディはマルイの惑星として、地方都市、衛星都市を中心に展開していくのが狙いだ。
2015年11月にオープンした渋谷モディは、JR渋谷駅を中心に再開発が進む新しい街にふさわしく、東京のライフスタイルとカルチャーを打ち出すテナントを集積した。
CDと書籍を融合させ、イベントも開催する「HMV&BOOKS TOKYO」を3フロア展開するなど、知的商業空間の追求を目指している。マルイはこうしたライフスタイル型業態として収益向上が図れるとの手応えをつかみ、17年3月期をメドに店舗ごとに自主編集売場を除いた約7割の売場で、SC転換を終える。それ以降、小売り・店舗事業の営業利益は、段階的に高まっていくとみる。
(つづく)
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