2024年12月23日( 月 )

知性を備えたロボットが人間の仕事を奪う?(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

img ロボットは現在、製造現場だけでなく、軍事、医療、建設現場など利用の場がどんどん広がっている。今後、ロボットの時代が到来すると人間はロボットに仕事を奪われてしまうのか。そのようなことを心配する向きも多いのは事実である。これから単純作業や繰り返し行なわれる作業はロボットに取って代わる確率は高いと思われる。しかし、創意工夫が必要な仕事はやはり人間にしかできない。例えば病院で薬剤を用意する仕事は、ロボットに任せるとミスも少なく、スピーディに処理ができて、患者の待ち時間の短縮ができたという事例が報告されている。人間は、その代わり患者に接して相談を受けたり、別のもっと大事な仕事ができたりするようになるだろう。

 それでは、韓国ではロボット産業はどのような状況で、世界的にはどのような動きがあるのかを見てみよう。韓国では自動車、電子分野にロボットの導入が進んでいる。ロボット産業は成長産業なので、韓国政府もロボット産業の育成に本腰を入れている。韓国政府は2018年まで63億ドルの予算の投入を発表している。産業用ロボットの分野では韓国は日本、中国、アメリカに次ぐ4番目の地位にいて、先進国を追い上げるために技術開発に熱心である。今、世界的にロボットの導入競争は始まって、韓国の場合、ロボットを導入することによって33%の人件費の削減効果があることも試算されている。労働組合の問題の解決、生産性向上の切り札として韓国では今後、ロボットがより多く導入される可能性が高い。このように、ロボットが普及して、より身近になるのは間違いない。

 では、ロボットが増えていく社会で人間とロボットはどのように共存すればいいのだろうか。ロボットを導入することによって生産性が向上し、効率化を達成したとしても、仕事を奪われて人間が不幸せになれば何の意味もない。

 今、日本でも建設現場の人手不足をロボットで解決しようとしているが、機械との競争は賃金抑制の名目にも利用されている。それから危惧かもしれないが、ロボットがプログラムした通りに動くという保障はどこにもない。万が一、ロボットが何かの不具合で制御できなくなると、どんなことが起こるだろうか。想像するだけで不気味である。

 ロボットは確かに利用の仕方によっては、とても便利な存在である。しかし、ロボットとの共存を前提にした新しいあり方については今から考えておく必要がある。2045年にはロボットが人間の知能を超える可能性があるということで、グーグルをはじめ、IT企業ではかなり力を入れて開発に取り組んでいる。現段階では人工知能はまだ実現されていないが、これが実現するとロボットはまるで人間のように学習能力を持ち、知性を備えるようになる。今でもビックデータなどを活用したデータ分析はすでに行なわれている。ロボットの進化と人との関わり方には注目していきたい。

(了)

 
(前)

関連キーワード

関連記事