2024年12月27日( 金 )

シャープの危機~その前兆は20数年前からあった(番外編2)

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迷えるシャープはどこへ

sharp_s シャープの鴻海に対する報道

 経営不振に陥っているシャープは、官民ファンドの「産業革新機構」と、台湾の「鴻海(ホンハイ)精密工業」の双方から再建の提案を受けて、水面下で主力の東京三菱UFJ銀行、みずほ銀行と協議していたといわれる。
 しかし、シャープは液晶技術を国外に流出させないという政府の意向を受け、「機構」から3,000億円規模の出資を受け入れて、再建を進める方針に傾いていた。それを知った鴻海は、巻き返しのため先月末、経営トップの郭台銘会長自らが来日し、シャープの経営陣に対し再建策を説明。最終局面で7,000億円を超える規模の資金を投じること。その上に現経営陣の留任と、40歳以下の若い社員の雇用は守るという大盤振る舞いを約束したといわれる。その結果、シャープは4日の取締役会で、鴻海の傘下で再建を目指す方針を決めた。

 自家用ジェットで急きょ来日していた郭会長は5日、高橋興三社長と8時間にわたり会談。会談を終えた午後5時46分、シャープ本社前で報道陣の取材に対して、郭会長は「優先交渉権でサインをした。2月29日までに最終契約を目指す」と自信を示したという。
 それを聞いたシャープは、すかさずその日、「優先交渉権は与えた事実はない」と発表するなど、買収交渉は初日から微妙にすれ違いを見せているが、はたして今後どのような決着が待っているのだろうか。

問われるメイン銀行の責任

 シャープの取締役13名のうち、プロパーは4名で、メイン銀行出身者2名、取引企業出身者3名、官公庁出身者2名、弁護士2名の体制。また、監査役5名のうち、常勤監査役は2名で、プロパーとメイン銀行のみずほ銀行出身者が各1名。非常勤監査役は弁護士・公認会計士・警察庁出身者から各1名。
取締役のNO.4はメイン銀行の三菱東京UFJ銀行出身者である橋本仁宏取締役兼常務執行役員は、経営管理本部長。取締役のNO.6はメイン銀行のみずほ銀行出身者である橋本明博取締役兼常務執行役員は、経営企画本部長。

 上記から見えるのは業況の悪化しているシャープの主要ポストはすべてメイン銀行が握っており、俗に云う銀行管理企業ということになろう。銀行が手を引けばいつ倒れてもおかしくない財務状態に陥っており、高橋社長はさしずめ、2人の橋本氏のスポークスマンといっても過言ではないのかもしれない。

 メイン銀行であるみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行は、昨年6月30日総額2,000億円の貸出債権を優先株に振り替える金融支援を行ってはいるが、監査役を含め3人が主要ポストに就いているのだ。今こそ貸出債権を放棄するなど思い切った支援策を打つべきではないだろうか。
 外資・鴻海の傘下に入るのか、それとも官民ファンドの産業革新機構の支援による再建を図るのか。高橋社長には、日本の国益を守るために、大局的な見地から決断を下すことが求められているといえよう。

(了)
【北山 譲】

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(番外編1)

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