博多山笠東流代表1,000万円以上の簿外金認める　一部証言に食い違いも（前）

山笠

2016年2月12日 10:21

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　博多祇園山笠の流の１つである「東流」で、巨額の簿外金が存在することや不正会計処理が行われていたことが発覚したと、福岡のニュースサイト「HUNTER」が報じている。

　真偽を確かめるべく、東流の代表へ取材を行なったところ、ニュースサイト「HUNTER」の報道を認めたうえで、簿外金の存在も明らかにした。簿外金が生じた経緯やその取り扱い、また既報の山笠制作工事の状況を聞いた。一方で証言と食い違う部分も出てきており、以下に記していく。

＜２月９日　東流代表宅でのやりとり＞

　――「HUNTER」というニュースサイトで５日と８日に報道が出ています。これらに間違いはありませんか。

　代表　うん。（家人：昨日のニュースは見ていないでしょ）。ああ、（８日のは）見てない。

　――昨日のニュースは見ていないのですね。昨日の話は義援金の話です。300万円を市に寄付したということですが、どこから出たお金か不明瞭であるという報道で、記者とのやりとりが掲載されています。

　代表　まだ見とらん。

　――寄付は500万ほど集まったということも出ていますが。

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博多祇園山笠「東流」

　代表　500万集まったと言っているが、実際は500万も集まっとらんよ。誰が500万と言ったかのか、わからんくさ。俺が会議の席上、300万ぐらいは寄付せにゃならんよねと言うたたい。そやけ、みなさん寄付してくださいとお願いして、実際集まったのは150万ぐらい。それじゃ足らんけん、再度お願いして194万ぐらいは集まった。当初300万は寄付しようと行ったので、俺が100万出して、残りの6万は何かの金を足してちょうど300万に合わせて持って行った。500万や600万は嘘よ。俺の100万は、一部よその流に貸した金の礼金やらをプールしとったものから出した。足りない分は個人的な金を何十万か出した。まるまる東流の金でもないし、私の金でもない。
　私がお金を管理しとったというが、700万円の飾り山の協賛金は7月14日朝に、会計さんから700万預かって、請求書の通り清算していく。それしかやってないのに、帳簿の管理は私がやっているように思われている。

　――では、通帳の管理は誰がやっているんですか。

　代表　流の会計さん。4社の協賛金も会計さんの管理する通帳に入ってくる。市からの補助金もその口座に入ってくる。

　――東流の飾り山は830万円ほどかかるんですか。

　代表　それぐらいはかかる。協賛金700万では足りない分を補助金で賄っている。

　――しかし領収書は人形の分しかないようですが。他の領収書は？

　代表　探してから出したと聞いている。

　以上のように、ニュースサイト「HUNTER」の報道については、反論はありつつも、事実として全面的に認めている。代表自身が支払いのために、一旦協賛金を預り、清算を行っているというが、会計がいるにもかかわらず、わざわざ代表が行う必要性はない。義援金の出処も、一部はプール金から拠出していたことが確認できた。さらに山笠制作について、質問を続けた。

　――あと、御社で山を製作していますよね。どこの流の山を制作しているのですか。

　代表　それは、渡辺通りの山と、天神1丁目、リバレイン、千代流と東流の5件。そのうち、名越工務店が渡辺通りと天神とリバレイン3件を元請として、請け負い、梅熊組が下請で工事を行っている。千代流と東流は直接、流から請け負い、制作している。

　――１件で、どれほどの（金額の）工事になるのですか。

　代表　値段はいろいろ。

　――東流は元請で間違いないですね。

　代表　そう。年によって、建てる場所や条件によって金額は変わる。

　――どれぐらい前から山笠の制作をしているのですか。

　代表　私が二十歳の頃からやっている。私の親がいた時代から、やっている。そのころは舁き山の制作は無償でやっていた。礼金として、いくらかはもらっていたが、額は少ない。飾り山は値が張るので、お金はもらっていた。何十年も制作には関わってきた。

　上記のやりとりから、ひとつの矛盾が生じる。梅熊組が手がけるのは合わせて５つの流の山笠だという。そのうち、３つが名越工務店から下請、２つが元請工事だと証言を得た。そこで、梅熊組が県に提出している近年の工事経歴書を眺めてみると、どうも腑に落ちない。それは東流に関する工事履歴が見当たらないのである。確かに千代流運営委員会からの元請工事は記載がある。そして、名越工務店からの下請履歴も残されている。しかし、東流の工事履歴は数年遡っても記載が見当たらないのである。代表の言うとおり、元請で請け負っているのなら、工事履歴が記されているはずだが。一体、誰が東流の山を制作したのであろうか。

（つづく）
【特別取材班】