韓国経済ウォッチ~北朝鮮の核実験と南北統一(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
筆者は、ビジネスコンサルタントである。ビジネスについては、ある程度経験もあるし、専門知識も持っているが、政治――とくに北朝鮮の問題になると、専門家ではないことをまずお断りしておこう。
最近、北朝鮮の核実験により、朝鮮半島の緊張が高まっている。韓国政府は、北朝鮮の核実験に抗議し、開城(ケソン)工業団地を閉鎖するなど強攻策に出ている。国連なども北朝鮮の核実験を非難し、制裁を決議しようと動いている。
まず、北朝鮮の核実験の概要をおさらいしよう。北朝鮮の朝鮮中央通信によると、北朝鮮は1月6日10時に北朝鮮初の水爆実験を成功させたと発表した。北朝鮮は過去、2006年10月、09年5月、13年2月の計3度にわたって核実験を実施し、今回で4回目の核実験となる。
北朝鮮は今まで国際社会の反対にも関わらず4回の核実験を実施しているが、北朝鮮の主張によると、今回の実験は水爆実験だとしている。それが本当だとしたら今回の実験は1~3回目までの核実験とも違うことになる。水爆は核融合を利用するが、原爆は核分裂を利用するからである。破壊力においても、水爆は原爆の数十倍から数百倍の威力がある。北朝鮮は1回目と2回目の核実験ではプルトニウムを原料物質として使っているが、3回目の核実験の原料物質は高濃縮ウランが使われたと推定されている。しかし、今回の水爆実験には重水素また三重水素が原料として使われたことと思われている。
もう1つの特徴は、1~3回目の核実験は事前に予告されたのに対して、今回の4回目の核実験は、事前に予告も何の兆候も存在しなかった。それでは、北朝鮮の今回の核実験の狙いは何だろうか。まず、北朝鮮が置かれている環境を理解する必要がある。
世界的に見ても、北朝鮮のように長期間にわたって、それから3代目まで独裁政権が継承された事例は存在しない。世界で最も長期に続いた独裁政権はシリアの政権で、2代に渡り44年間続いた。それに比べ、北朝鮮は3代目で70年間も続いている。2代目の金正一(キム・ジョンイル)書記の場合、52歳のときに金日成(キム・イルソン)書記から政権を引き継いだので、後継者の授業期間が十分あった。しかし、3代目の金正恩(キム・ジョンウン)書記の場合にはそのような時期がほとんど存在しなかったことが、まず彼にとって不幸である。
若くして政権に就いた金正恩書記は、実質的なナンバー2と見られていた張成沢(チャン・ソンテク)を処刑したり、側近をいきなり処刑したりとしている。しかし、このような恐怖政治は強固であるようで、世界の歴史が示すように劇的な最後を迎えることが多い。内部で政変が起こる可能性は十分ある。政治が不安定であるだけでなく、北朝鮮は経済政策に失敗し、一般市民の生活はとても疲弊している。もちろん平嬢のような都会では所得が増えた一部の階層もいるが、農村などは食っていくにも大変な状況が続いているようである。このような状況のなかで、北朝鮮の体制維持のための最善の選択が核武器の確保である。核武器の開発は、北朝鮮にとっては、取り得る選択肢のなかで、かなり有効で、効率的な選択肢である。もちろん北朝鮮は経済発展と核実験を同時に進めるという「並進政策」を掲げているが、経済政策で成果を出すのは簡単なことではないので、核開発は北朝鮮の一点突破戦略に合致する良い武器である。核実験は脅し外交の最高の武器として、アメリカとの交渉カードとしても活用できるし、内部的には北朝鮮の技術力を誇示することによって、北朝鮮の住民の団結を導き出す役割も果たすからだ。
(つづく)
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