柳川商店街再生の試み(8)
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前回は、「柳川商店街会員アンケート調査」(経営者調査)の分析と他地域の事例から、今や商店街は個店の魅力を向上することが重要課題となっていることについてお話しました。
ここからは、それでは商店主たちは柳川商店街が今後どのような対応をとって再生を図るべきと考えているかについて見ていきます。【柳川商店街の対応策】
前回、店主たちが考える柳川商店街の問題点の第1位は「空き店舗の増加」であることを見ましたが、これに対応するように今後の対策としては「空き店舗の活用」が64.9%で第1位に挙げられています。第2位には「取扱商品・品揃えの充実」が49.1%となっています。これは、現状の問題点で第5位に位置づけられていた「個店の魅力がない」に対応したものと考えられます。また、「取扱商品の品質・鮮度の向上」が33.3%で第4位となっていますが、これも「個店の魅力がない」に関連した回答と思われ、商店主たちが個店の魅力向上の重要性をはっきり意識していることが明らかです。
なお、第4位には「街並みの美化運動や景観整備」が36.8%で、第6位には「日曜日の営業」が31.6%で挙げられています。旧国道に面し、歩道がほとんどなく、快適とは言えない買い物環境への対応であり、客が来ないから日曜日に休業する、日曜日に空いてないから消費者は商店街を利用しない、という悪循環の解消も、対策として重要だと認識されているようです。【地域コミュニティ形成とハード面の整備】
商店街が地域コミュニティ形成の拠点となって欲しいといった意見は、消費者から強く求められていたことは既述しました。そこで、商店主側に趣味活動や地域行事の集まりができるような施設が商店街に必要であるかどうかを質問しています。
その結果、「ぜひそのような施設が欲しい」(35.1%)と「できたら欲しい」(36.8%)を合計すると、ほぼ7割が必要であると回答しています。
さらにハード面の整備についての必要性も尋ねています。その結果、「商店街のなかの歩道の整備」(57.9%)、「トイレの整備」(35.1%)、「駐車場の整備」(29.8%)がトップ3となっています。【マルショク跡地の活用策】
そして、今回の調査事業の主目的である、マルショク跡地の活用策への要望を聞きました。その結果、図を見るように、やはり「生鮮食料品店」の導入がトップでした。これも消費者調査の結果と対応した意見です。これに続いて、「地域住民の交流の場」や「高齢者の憩いの場」といったコミュニティ機能の形成を図る場が低率ながら望まれていることがわかります。以上が「柳川商店街会員アンケート調査」の結果です。
このほか、地域の団体や関連事業者へのヒアリング調査も筆者が直接行いましたが、そのなかで注目すべきは、幼稚園や保育園における地域活動の活発さでした。
幼稚園や保育園では、料理(エコクッキング等)やガーデニング、アロマ、ろうそく作り、フラワーアレンジメント、ヨガ、音楽セラピーなどの講座を積極的に行っており、講師をその分野を得意とする園児の母親のなかからお願いして、低コスト講座を数多く開催しているのです。なおかつ、幼稚園・保育園経営者は、この講座を商店街活動と連携させることも望んでいるのでした。さらに、園児のお母さん方だけではなく、在宅で子育てをしているお母さん方も、おしゃべりのできるカフェを探し求めてあちこちどこまでも行っている、そんな場所が商店街のなかに欲しいという声をつかむことができました。こんな話を直接聞けるのが、地域調査の醍醐味です。
以上のようなマーケティング・リサーチ活動から、柳川商店街活性化、その核としてのマルショク跡地の活用策の方向性が見えてきます。(つづく)
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<プロフィール>
M&R 地域マーケティング研究所
代表:吉田 潔
和歌山大学観光学部特別研究員(客員フェロー)、西日本工業大学客員教授、福岡大学商学部非常勤講師。関連キーワード
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