美しい街並みをつくり出す新たな時代の地域工務店となる(前)
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(株)安成工務店 代表取締役 安成 信次 氏
創業65周年を迎えた(株)安成工務店。同社は創業以来、下関の地を中心に、一貫して地域に根ざした工務店として、街づくりに多大な貢献をもたらし今日に至る。同社は注文住宅とさまざまな建築物を設計施工で供給するという珍しい業態を持つ。すべては「健康で快適、且つ安全な暮らし」を原点に、事業をつくり上げている。今後の激動する業界において、同社はどのような経営を構築していくのか。同社代表の安成信次氏に話を聞いた。
(聞き手:弊社代表・児玉 直)
不変の志向のオーガニック・エコハウス
──現代の我が国の社会情勢は、日ごとに変化しております。この激動のなかで、経営のマネジメントを実践するための大切な要素を改めてお聞かせください。
安成 時代と社会に合致した事業をつくっていくことがとても大切だと思います。来年の消費増税後、住宅着工数は減少し続けていくと言われています。工務店は今後、大きく淘汰されるでしょう。建設投資がピーク時に80兆円であったわけですが、現在では約45兆円でほぼ50%までに減少しました。一方、建設業者数は20%しか減少していません。住宅の着工戸数の減少と、ZEH(ゼロエネルギーハウス)化の壁を越えられるかで淘汰が進みます。元請けの工務店業界が寡占化状態になるには、今後10年はかかると思われます。
── 一方で、建築専門工事の企業は人手不足もあり、比較的安定した経営を実践していますね。
安成 専門工事業のなかには、すでに寡占化状態を迎えた業界もあるようです。杭、レッカー、左官、鉄筋、型枠大工など専門工事業は、人手不足もあり、受注量を確保しており安定した経営に入ってきているという印象です。山口県内では、その傾向が見られます。
──話は変わりますが、直近での貴社全体の業績のなかにおいて、福岡地区に占める事業の割合についてはいかがでしょうか。
安成 グループの総社員は276名です。具体的には7社、(株)安成工務店、(株)オークス建設、(株)ハウスドクター山口、(株)エコビルド、(株)デコス、(株)アスティ・ケア、(株)ワイズパートナーで、安成工務店グループを形成しています。そのうち98名、約35%が福岡市に勤務しています。昨年(2015年)に7番目の関連会社ワイズパートナーを設立させました。ワイズパートナーの事業は、不動産の企画・開発・評価および売買・仲介・管理です。
今年2016年の安成工務店グループ全体の売上目標は、153億8,000万円です。そのうち北九州地区を含む福岡県内全体で約76億円を売上目標としています。そのうち、福岡市は70億円前後です。今年の福岡池区の売上高は、全体の約45%を占める予定です。──貴社の単独(安成工務店)の業績は、いかがでしょうか。
安成 15年12月期で87億円の売上でした。内訳は、住宅事業32億円、建築事業44億円、開発事業11億円です。16年は、95億円の目標を設定しております。注文住宅の竣工戸数は、120棟の完工目標です。4年前からオークス建設とエコビルドでも注文住宅事業を始め、それらが約40棟ありますので、合計160棟を目標にしています。当社が長年取り組んできた『オーガニック・エコハウス』。この方向性はこれからも不変です。
この自然素材型の省エネ住宅は健康にもとても良い影響を与えると考えており、これを証明するために3年前から、九州大学箱崎キャンパスに実験棟を建て、九州大学と(株)トライ・ウッド(林業・製材業、大分県日田市上津江町)、そして当社の3社共同で、「木の家が持つ健康性」をテーマにした研究・実験を継続しています。(つづく)
【文・構成:河原 清明】<COMPANY INFORMATION>
代 表:安成 信次
所在地:山口県下関市綾羅木新町3-7-1
創 業:1951年1月
資本金:7,200万円
売上高:(14/12)82億1,136万円<プロフィール>
安成 信次(やすなり・しんじ)
1956年、山口県豊浦郡豊北町(現・下関市豊北町)に生まれ。77年日本大学生産工学部建築工学科を卒業後、大手建設会社勤務を経て、81年安成工務店入社。88年より同社代表取締役。NPO環境共棲住宅・地球の会理事長、日本セルロースファイバー断熱施工協会会長など要職に就く。法人名
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