2024年11月27日( 水 )

柳川商店街再生の試み(11)

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img これまで述べてきた柳川商店街におけるマルショク跡地を核にした活性化の方向性をまとめると、下図のようになります。

 マルショク跡地は、以前から柳川商店街のイベント「辻門市場」や、まさに今開催中の柳川雛祭りの「巨大さげもん」の展示場として、以前から市民に親しまれています。この伝統的な名称「辻門」を生かし、「~地域の人々が誇りを持てる新しい拠点~、~伝統を保持しつつも、賑わいを生み出し、新しい柳川商店街のイメージ・情報を発信~」する場として活用することとしました。そのようなことから“ここから生まれ変わる柳川商店街”を開発の基本コンセプトとし、開発地の名称も「辻門ひろば」とすることを提案しています。

 このようなコンセプトに基づいたマルショク跡地は、どのような開発を行うべきかについても、もちろん提案しています。導入機能としては、物販機能、交流機能、文化機能、その他に大別されます。
 物販機能には、柳川の豊富な農水産物の直売所と商店街会員が出品・出店できる商店街会員ショップ、これは市民の手工芸品、農産物加工品などの展示即売機能も併せ持ちます。
 交流機能は、多世代交流拠点として各種の文化講座などの開設、子供図書館、そして、子どもたちが自由に体を動かし遊べる芝生広場を整備します。
 文化機能としては、ステージを設置し、高校生などによる音楽の発表の場を用意します。さらに、地元の方々の手になるクラフトショップも配置されれば、地域の方々の創作意欲を刺激するものになるでしょう。
 その他の機能としては、最低限の駐車場です。大きな駐車場は、この跡地に隣接しています。そして、これら4つの機能をお互いに結ぶのが「カフェ・軽飲食」店舗です。ここに地域の人々や観光客が集うことで賑わいが演出され、この跡地から商店街への人の流れも形成されるものと思われます。

siryou そして、最後に「マルショク跡地開発事業計画」における開発イメージおよび事業計画の提案です。この跡地開発のイメージ形成にあたっては、佐賀市(佐賀市街なか再生会議)が所有し指定管理者としてNPO法人が運営する「わいわい!!コンテナ2」をケーススタディしました。これは、佐賀市の中心部に生じた空き地にコンテナを配備することで空き地の有効活用を図った例です。
 コンテナは、読書・交流・チャレンジ・トイレコンテナの4棟が624m2の土地に配置されており、子どもたち、またその母親たちの交流の拠点になっています。この施設の展開にも、国の商店街活性化関係の補助金が活用されています。コンテナを活用することで建築コストが抑えられ、撤去も容易であるとの利点があります。また、芝生広場は、子どもたち、その親たちが集うためには必須の要件でしょう。

 このような先行事例を参考にしながら、マルショク跡地にコンテナを活用したケースと軽量鉄骨造りのケースの2案を提案(図はコンテナケースのみ)しました。もちろん、これに基づいた事業収支計画も作成しています。

 現在、この用地は市が取得しその活用策を検討している段階で、事業着手には至っていないようですが、ぜひともこのような活気と賑わいに満ちた拠点づくりを行ってほしいと願っております。
 折しも、柳川市では「【柳川市観光PRビデオ】SAGEMON GIRLS さげもんガールズ」を作成し、ネット上でも話題になっています。残念ながらこのビデオに、柳川商店街は登場してないようです。これが現状です。今後の活性化を願う次第です。

(柳川商店街編・了)

<プロフィール>
100609_yoshidaM&R 地域マーケティング研究所
代表:吉田 潔
和歌山大学観光学部特別研究員(客員フェロー)、西日本工業大学客員教授、福岡大学商学部非常勤講師。

 
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